薬代だけで月に数十万円を払い続けている人も。高額療養費問題が突きつけたニッポンの“不都合な真実”

 

いまだに「元気でバリバリ働ける人仕様」で動き続けている社会

言わずもがな、今の「私たち」が生きるのは超高齢社会です。

働く人の半数以上が50歳を超え、この12年間で60歳以上の従業員は2倍に増え、特に65歳以上は3.2倍と爆増しました。人生100年時代だの、70歳まで働くのが当たり前の時代だの、といった言説はあちこちにあふれていますが、働く時間が延びれば「病」になる人は必然的に増えます。がんも含めて、年齢が高くなるほど病いになる人の割合は高まり、発症のピークは50代です。

社会の年齢構成が変われば社会のスタンダードも変わるはずなのに、いまだに社会は「元気でバリバリ働ける人仕様」で動き続けている。

アメリカでは、がんに罹患した労働者が職場で不利益に扱われた場合、裁判所に救済を求めることが出来る法律があります。「障害を理由とする差別を明確かつ包括的に禁止するための法律(ADA)」です。

1990年に制定されました。がんに罹患したことをきっかけに直面する雇用の喪失や望まない配置転換、降格などの不利益取扱いは「がんを理由とする雇用差別」にあたるのです。

日本には「世界=米国」と考える人が上級国民に多く、アメリカ産を輸入するのが大好物です。ADAこそ見習うべきですし、高額療養費が議論の俎上に上がったのですから、「がん患者の就労」についての議論も行ってほしかった。

厚生労働省によると労働人口の3人に1人が、何らかの疾患を抱えながら働き、会社(所属長・上司)に相談や報告「できない」あるいは「していない」人は、非正規雇用ほど多いことがわかっています。「派遣社員」では半数近い46.2%「パート・アルバイト」38.1%、「契約社員」31.5%、「正社員」でも4人に1人 25.3%です。

誰もが老いるし、老いれば誰もが病と共に働くことを余儀なくされるのに…。

みなさんのご意見や体験など、お聞かせください。

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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