安倍夫妻が直接関与している期間が全ヌケ。森友学園事件の記録文書“公開されなかった75ページ”に何が書かれているのか

 

不正を疑わざるを得ない「8億円の値引き」

5P.419、413、307、292、174、204の欠落

【NHK】言及なし。

【相澤】元の公開文書のナンバーがなぜか飛び飛びなので分かりにくいのだが、これらのページが該当するのは順に、16年3月14日、同、3月31日、4月1日、14日、16日である。相澤の解説もまた行ったり来たりで分かりにくいので、私なりに整理すると……。

  • 16年3月14日の時点では財務局は、「校舎建設に支障のない範囲のゴミ撤去費用まで国が支払うことは出来ない」と繰り返していて、籠池側はゴミを埋め戻せと指示したのは財務局だと追及した。
  • 3月31日の池田靖=統括国有財産管理官と森友代理人との打ち合わせでは、
    池田 「土壌改良に1億3,200万円を使っているので、それより安くは出来ない。それでも大丈夫か(買えるか)?」
    森友 「ここまでという額がある」
    池田 「いくらまでなら出せるのか」
    森友 「1億6,000万円だ」
    池田 「その範囲に収まるといいですね」
    というやりとりが交わされている。開示文書にはこれにつながる直前までの会話は記録されているが、この会話そのものは記録されていない。ところが、このやりとりは森友側のメモに残されていて、検察もそれを入手している。つまり、ゴミの撤去費用を口実になんとかして森友側に払い下げてやろうという“国家意思”が働き始めたということである。
  • 4月1日に池田が業者に送ったメールで、売却額が鑑定価格の約7分の1の1億3,400万円に収まったことについて、「瑞穂の國記念小学院開校に向けご協力いただきありがとうございます」と、まるで財務省が学校を創るみたいなことを言っている。
  • 4月14日に国交省大阪航空局が池田に送ったメールでは、ゴミ処分費用は8億1,900万円と記している、ところが2日後の16日には校舎の設計を請け負っていた業者が財務局に対し、校舎建設に関連するゴミ処分費用は3億1,900万余だと言ってきた。それに対し航空局も財務局も、校舎部分だけでなく校庭なども含めた敷地全体のゴミ撤去には8億円余という主張を曲げず、その結果、売却額が1億3,400万円に落着したのである。

NHKが財務省から引き出した「弁明的」コメント

これらについてNHKは財務省に取材し、「検察に提出した資料から意図的に隠していることはない。国会では、廃棄をしたために欠落が生じている部分もあると考えられると答弁している。開示文書で欠落していると指摘を受けているものについては、現在、確認を行っているところで、引き続き真摯に対応していく」との弁解的コメントを引き出しているが、その後に情報公開制度の専門家である三木由希子=NPO「情報公開クリアリングハウス」理事長に次のように語らせている。

▼仮に番号が連続して欠落している文書が検察に任意提出したものの中に含まれていないということになると、政治との接点があった時期の財務省内の対応について、十分な検証に足りる資料を検察に提出していなかったのではないかという疑問が出てきます。財務省はなぜ欠落している部分があるのかをきちんと説明すべきです。

▼財務省はこの問題で学園側などとの交渉記録を廃棄していたことを認めています。2018年5月に交渉記録の一部を公表した際には、職員の手控えとして残していたものや、サーバー上に残されていたものを集めたという説明をしていて、全体像としてどのような記録を作成していたのかわからないという立場をとっています。結局、どの範囲まで交渉記録を集められたのか、集めたものをすべて明らかにしているのかを、まずは説明すべきです……。

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