昭和時代のように、上司が部下をパワハラで押さえつける時代は終わったようです。世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんは、今回のメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』に送られてきた、読者からの「部下がまったく言うことをきかない」といった上司からの相談に、真摯に答えています。
4月から課長に昇進したのはいいのですが、部下の1人がとんでもない問題社員で全く言うことを聞きません。
Question

念願かなって4月から課長に昇進し、部下が7名になりました。昇進したのはいいのですが、7名のうち1人がとんでもない問題社員で全く言うことを聞きません。前任者が急遽工場に赴任したため、まとまった引き継ぎもできなかったのですが、古株のこの社員にずいぶん苦労したとは聞きました。業務知識はありますが、ともかく上司に非協力的で、会社というものに不平・不満が強く、ネガティブなことしか言いません。他の社員も辟易としているのが見え見えです。私としては毅然とした態度で取り組みたいのですが、自分自身の成果もまだままならない状況で、変なノイズを立てられてもということで腰が引けています。どう対処すればいいでしょうか。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。大変よくあるケースですね。
問題社員ですが、会社との関係、これまでの上司との関係でこじれてしまっているのだと思います。
そういうときは、いったん、百歩譲ってその方の言い分を全部聞いてあげてください。これまではまともに聞いてもらっていないと思います。
どんどん突っかかってきたり、けんか売ってるのかと思われるような発言が続いたりしますが、これは全部「試し行動」です。こういう傷ついた人がよくやることでそれに乗ってはいけません。
どんなことを言われても、反論せず、弁解せず、言い訳せず、1時間くらいは聞き続けるといいです。
また数日して1時間くらい話を聞いてください。
元々まともな人であれば、そのくらい話して、全部受けとめてもらえると、「あれ? 今度の上司はちょっと違うぞ? 俺のことを馬鹿にしないし、話も聞いてくれるぞ」となって攻撃的姿勢がかなり弱まります。
もちろん、もっと心底ぐれてしまっている人はこのくらいで改善することはありません。もっと「これでもか、これでもか」と試し行動をしてきます。
それに対して「いい加減にしろ、ふざけるな」と思わず言ってしまうと終わります。
1時間のミーティングを2度ほどして、改善の兆しが見え始めたら、一度食事に誘ってください。お酒は1,2杯にして、彼もご自身も酔わない範囲にしておく必要があります。
ほろ酔い加減になるとさらに饒舌になりますので、それも全部聞きます。何一つ弁解せずにですね。(ただ、時間は2時間で切ります。だらだらと話させ続けたり、二次会に行ってはだめです)
そうすると、かなり高い確率で、ヘソを曲げていた状況から一歩、また一歩と前向きになっていきます。
誰でも、ヘソを曲げているのが一番楽なわけではなく、意地とプライドからその姿勢を取り続けている可能性のほうが大きいです。
騙されたと思ってやってみてください。2回の1時間ミーティング+2時間の会食でかなり印象は変わっていくはずです。
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