現状もっとも有効と考えられる本人確認の手段
犯罪グループは今の状況を見据えるように、5月2日、日本証券業協会が証券会社と一定の補償を申し合わせたニュースの翌日に、私のもとに「【必須対応】資産補償手続きのご案内(SBI証券)」というフィシング詐欺メールを送ってきました。
● さっそくきました 証券口座の乗っ取りに便乗する「資産補償手続きのご案内」メール 手続きに進んでみると
さらに、その後にも別バージョンがきました。
● 次々にやってくる、証券会社をかたる偽の補償手続きメール その先に絶対に進んではいけない
この二つの記事を書いのには、もう一つの理由があります。
今、多要素認証の必要性が叫ばれています。
多要素認証とは、知識情報、所持情報、生体情報の2つ以上の要素に組み合わせることで、本人確認をする仕組みです。知識情報には「ID、パスワード」があり、所持情報は「スマホや携帯電話」、生体情報は「指紋、静脈」のことです。
最初の記事の「補償手続きのメール」では、知識情報だけでなく、メッセージなどに送らせた認証コードを入力させて、盗み取ろうとしています。
次の記事で紹介した「補償手続きのメール」では、誘導先にアクセスすると、パソコンを乗っ取られる恐れがあります。つまり、所持情報を突破しようとする詐欺グループの思惑が見えてくるのです。
現状では生体情報は盗みようがないので、これがもっとも有効な本人確認手段の一つになると思っています。しかし今後も、詐欺グループはあらゆる手段で、私たちから情報を抜き取り、不正アクセスしようとしますので、油断は禁物です。
(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2025年5月14日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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