連日大きく報じられている証券口座の乗っ取り被害。不正売買の総額は3,000億円を超えるなど、問題は深刻化の一途を辿っています。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』ではこうした事件に詳しい多田文明さんが、犯罪組織が海外に拠点を置いている可能性を指摘。さらに自身が受け取った「補償手続きをかたるメール」から透けて見える犯行グループの思惑を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ついに証券会社口座の乗っ取りによる不正な株売買の金額が3000億円超に 補償手続きをかたるメールの記事を書いたもう一つの意味 詐欺の手口を変える ロマンス詐欺の新手口
ようやく見えてきた事件の全体像。3,000億円を超えた証券口座乗っ取り被害の総額
証券口座の乗っ取り事件の被害は、4月中旬に金融庁が発表した時には、不正アクセスは3,312件でしたが、5月8日では6,380件に上っています。
不正に売買された株の金額も、950億円超から、今回3,000億円を超える金額に跳ね上がっています。ようやく被害の全体像がみえつつあります。
今後は、不正アクセスがどこからなされたのかなど、被害を防ぐためにも、犯罪グループの実態を明らかにしてしてく必要があります。
現時点では、中国株が多く売買されているようですので、中国系などの海外系の犯罪グループの存在が考えられます。何より、これだけ大量の不正アクセスを行い、売り買いをしているとなれば、大規模な組織のはずです。となれば、国内ではなく海外に拠点をおいてなされた可能性が高いと思っています。
やはり海外組織か。証券口座乗っ取りの犯罪グループの正体
最近、証券会社をかたるメールのなかに次のようなものがありました。
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本文には「最近、日経平均株価が乱高下を繰り返し、市場全体が不安定になっています。これから大暴落が起こるのでは?と不安に思う投資家も多いでしょう。でも、それは大きな間違いです!暴落こそが、富を築く最大のチャンス!市場が混乱している今こそ、適切な銘柄を選び、戦略的に投資をすることで、大きな利益を得ることができます」として、「厳選した、予想リターン70%~150%の超優良銘柄リストを無料でプレゼント!今すぐ下のボタンをクリックし、私のLINEを追加してください!」となっています。
これは詐欺組織のLINEグループに引き入れてだまそうとする「SNS型投資詐欺」のメールです。こうしたものが、証券会社をかたるメールのなかに紛れ込んでいます。
私の見立てとして、これまで海外の犯罪グループは、SNSの有名人をかたった広告や、友達になった相手に恋愛感情を抱かせながら、偽の投資サイトに誘導してお金をだまし取ることを主としていました。しかし、その手口が警戒されて、うまくいかなくなってきた。
それゆえに、今回の手法を考え付いたことも充分にありえることだと思います。となれば、国際的犯罪ということになり、海外警察との連携が、証券口座乗っ取り事件の解決のために重要となってきます。
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