高速走行中の冗長性
緊急停止のシナリオは、単に「路肩で停まる」だけではない。
高速道路という環境で、センサーの誤認識や後続車の急接近といったノイズが発生した際でも、フェールセーフが求められる。
そのため、今回のNIO車両には高精度なセンサー冗長設計(LiDAR、ミリ波レーダー、カメラ)」と、ソフトウェアの安全補完ロジックが備わっている。
さらに、停止後には自動的にドアロックを解除し、SOS連携で救急や警察への通報も行われる仕組みだ。ドアロックが解除されているから、救出も容易になる。
同技術の量産化は画期
こうした高度な機能を「映像デモ」ではなく、「実車に載せて売る」ことの難しさを、NIOは強調する。
なぜなら、量産化にはコスト・認証・リスクヘッジの三重苦がつきまとうからだ。
他社が技術展示で見せることはできても、数万台に同機能を標準搭載するとなると、ハードウェアの歩留まりからオペレーション設計まで、次元の異なる課題が立ちはだかる。
今回のNIOの挑戦は、「安全を巡る競争」においてEVメーカーができることの最前線を示したとも言える。
自動運転技術の成熟にはまだ時間がかかるが、その過程で「命を守る仕組み」を積極的に取り込む姿勢こそが、消費者の信頼を勝ち得る鍵となる。
車AI化の最前線で存在感
中国EV市場の中でも、とりわけ慎重で信頼性重視のイメージを築いてきたNIOが、この機能を前面に押し出した意味は大きい。
日本や欧米の大手メーカーが「安全性=人の介在」とする中、NIOはあえて「AIによる補完的介在」に踏み出した。
AIの利活用は中国では一般的だが、NIOもその最前線に、存在感を示し始めてきた。
出典:https://mp.weixin.qq.com/s/OBAzZ5AGTEONQ6-cSbxc7g
※CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。
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