何が予測を難しくしているのか。元お天気お姉さんが解説する「ゲリラ豪雨」と「線状降水帯」の違いと発生のメカニズム

 

一人ひとりが持つことが極めて重要な「危機感」

天候が回復した翌12日もダイヤの乱れは続き、博多発東京行き「のぞみ」が22時間21分遅れで終点の東京駅に到着するという、開業以来最悪の遅延も記録されています。

はい、おわかりですね。このゲリラがゲリラ的で終わらず、継続して降るのが「線状降水帯」です。

「線状降水帯」という言葉は、気象研究所の加藤輝之博士が、07年に自身が執筆した研究者向けの教科書の中で使ったのが最初です。加藤博士は、「次々と発生する積乱雲が線状に並び、数時間にわたって同じ場所を通過または停滞することで、線状に伸びた雨域を作り出し、局地的な集中豪雨をもたらす現象」と定義しています。

ゲリラ豪雨も線状降水帯も「積乱雲」が降らす雨ですから、予測が難しい点は全く同じです。積乱雲の幅はだいたい3キロ~5キロ、大きくても10キロ程度なので、時間と場所を事前に特定するのが極めて難しいのです。

数時間前ならなんとかなりますが、明日の予報は「可能性」しかわかりません。さらに、線状降水帯が発生するメカニズムも、まだわからない点が多いのでそれも予測を難しくさせています。

実際、2024年の的中率は10%に満たず、気象庁が目標とした25%を大きく下回りました。また、見逃しも5割と、半数が予測すらできていません。

予測の精度を上げるには、観測データを集めまくり、メカニズムを解明する必要があります。気象庁は、スーパーコンピューター「富岳」を活用した予想技術の改善に取り組むほか、新型気象衛星「ひまわり10号」でデータ精度を高める計画です。

これが実現すればある程度精度はあがることでしょう。

しかし、大気にはカオス的性質があり、初期値が少し違ってくるだけでも大きく結果が変わります。

なのでやはりあとは、「自分の頭の上でも降るかもしれない」という危機感を「私」が持つことが極めて重要です。

天気はナマモノです。雨が予想される時には、最新のフレッシュな天気予報をチェックし、どうか身を守る行動をとってください。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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