AIが知的作業を代行してくれる時代に「人間の脳を鍛える必要」はあるのか。文筆家が導き出した答えに“納得”しかない

 

■パターンがない限り進まない創造的な知的作業

「これは野球で言えば満塁ホームランのようなものですね」という説明は、たとえる先が持つ構造や特徴と、“満塁ホームラン”が持つ構造や特徴に何らかの類似性を見てとることで生じます。

単に「満塁ホームラン」に関する知識を有していればいいというものではありません。言い換えれば、質問されたときにその辞書的意味をすらすら答えられればいいわけではありません。そこにある構造や特徴からパターンを抽出していることが肝心なのです。

そうして抽出され、ストックされたパターンが、何かを説明しようとしているときに引き出されてくる。あるいは、既存のものの新しい利用をするときに参照される。そういう構図があるのだと推測します。

どれだけ外部に検索できる知識があっても、脳内にストックされている知識とそこから抽出されたパターンがない限り、創造的な知的作業は進みません。

■生成AI時代にも脳を鍛えておく必要はあるか

さて、上記はGoogle時代のお話でした。検索エンジンは、知的作業を変わってくれない。だから知的作業をする主体として脳を鍛えておく必要がある。これはわかりやすい作業です。

では、知的作業を行ってくれる生成AI時代ではどうでしょうか。それこそ、素材となる情報をどんどんと詰め込めば、そこから新しいパターンを抽出し、それを別の情報へと適用することは人間がやらなくても済むかもしれません。

実際にやってみましょう。

■生成AIに作らせた「もっともらしい名言」

倉下 「人間が人生を生きることを、麻雀というゲームでたとえて、何か名言らしいものを導き出してみてください」

ChatGPT

面白いですね。麻雀を人生にたとえると、運と実力、選択と偶然が絶妙に絡み合うゲームであることが共通点として挙げられます。そこから導き出せる名言風の言葉をいくつか提案します:

1.「配牌は選べない。だが、どう打つかは自分次第だ。」

→ 人生のスタートや環境は選べなくても、そこからどう生きるかは自分の選択にかかっている。

2.「ツモられる日もあれば、アガる日もある。流局しても、次の局が来る。」

→ 良い日も悪い日もある。諦めなければ、人生には次のチャンスが必ずある。

3.「リーチをかける勇気も、オリる冷静さも、どちらも生きる知恵だ。」

→ 攻めるだけが人生じゃない。引くこともまた重要な選択。

4.「ドラが来なくても、手を作る者が勝つ。」

→ 恵まれた才能や運がなくても、工夫と努力で道を切り開ける。

5.「見せ牌でも、捨て牌でも、全てが情報になる。人もまた、言葉より行動に出る。」

→ 言葉より行動が人を語る。注意深く観察すれば、本質が見えてくる。

いかがでしょうか?雰囲気やテーマをもう少し特化させたければ、さらに磨きをかけます。

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