AIが知的作業を代行してくれる時代に「人間の脳を鍛える必要」はあるのか。文筆家が導き出した答えに“納得”しかない

 

■知的作業をする際でも何も覚える必要はないのか

できちゃってますね。

どれもこれもそれっぽいです。そもそも「麻雀を人生にたとえると、運と実力、選択と偶然が絶妙に絡み合うゲームであることが共通点として挙げられます」という記述の時点で適切にパターンが把握されていることがわかります。

ただしここには問題があります。そもそもとして、私が「麻雀は運が関わるゲームでその点が人生と似ているのでこれを使っていい感じに言えるだろう」と思ってプロンプトを投げている点です。言い換えれば、私がパターンを抽出していたから、それっぽいものが生成できるプロンプトが考えられたというわけで、若干のバイアスがかかっています。

もしほとんど知識を持たない人が同種のプロンプトを書こうとしたら、そもそも何を挙げていいのかがわからないでしょう。それでも、もっと基礎的なことを確認するプロンプトから始めれば、適切な知識を見つけ出すことはできるでしょう。

同じように、アイデアの発想において組み合わせるべき二つの要素も、非常に基礎的なプロンプトから始め、ランダムな二つの要素を見つけ出し、その要素の組み合わせから導き出されることもプロンプトによって行う、ということも可能そうです。

であれば、私たちは知的作業をする際でも何も覚える必要はないのでしょうか。

おそらくその問いは、二つの変形を持ちます。

一つは「何も覚えていない人が生成AIを使って知的作業をすることができるか?」。これは上の思考実験からいってイエスです。最低限プロンプトの使い方=会話・対話の仕方さえ「覚えて」いれば、知的作業を進めることはできるでしょう。

もう一つの問いは、「生成AIを使って知的作業をするときに何かを覚えていることは役立つか?」。これもまたイエスであることは、キーボードショートカットを覚えることにメリットがあることからもわかります。

無知で使えるからといって、無知で使わなければならないわけではありません。また、二つの状態が同じ成果を出す保証はありません。毎回毎回、いちいち細かいことを尋ね、プロンプトを試行錯誤する代わりに、自分が知っていることを大幅なショートカットとして利用できます。

こうした点からも、人間の脳を鍛えていくことは多いに有効だとは言えそうです。

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1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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