予報官が「梅雨入り・梅雨明け」の目安とする要素
では、そもそもどうやって「梅雨入り・梅雨明け」を決めるのか?ってことになるわけですが、いくつか目安なる要素がありまして、それらの状況をあれやこれやと予報官たちで議論し決定します。
ただし、本コラムでも度々書いてるとおり、天気はナマモノです。大気にはカオス性がありますから、どんなに予測の精度が向上しても「100%当てる」のは無理です。
初期値のわずかな違いがその後に巨大は差となって現れる。蝶がブラジルで羽ばたくことで、アメリカで竜巻が起こるかもしれないなどと言われるバタフライ効果です。
なので予報官たちは梅雨の季節が近づくと胃が痛い!また、あの季節が来てしまったのか…といつも以上に天気図とのにらめっこがはじまるのです。
私はそういう「汗」をかいてきた元ベテラン予報官の人たちから、さまざまな予報の肝を教わってきました。
梅雨の場合に一番参考にするのは「チベット高気圧」で「〇〇で風が強まってる」「△△で西風が強まってる」「ここまで高気圧が張り出してる」といった具合です。チベット高気圧の状況が日本の季節を左右する大気の大きな流れである偏西風に影響を与えるためです。
気象の世界から離れた今は、公開されている天気図しか見ることはできないのですが、今年はチベット高気圧がかなり早い段階から強まっていました。これが早めの梅雨明けにつながりました。
また、フィリピンの東方海上の海水温が高く、夏の高気圧である太平洋高気圧も強まっているので、気温もぐんぐんあがります。
高層天気図などをネットでチェックして、自分で天気を予想してみるのも楽しいと思います。ポイントは「高気圧」。梅雨前線を探すのではなく、中国大陸のチベット高気圧と、日本列島の太平洋高気圧に注目してみてください。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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