日系を脱ぎ捨てろ?中国マツダEZ-60が「現地の若者たち」に“刺さった”ワケ

 

ライフスタイルに踏み込む

また、今回のプロモーションでは、購入者の都市属性や趣味嗜好、さらには個人の職業・価値観まで踏み込んだ内容が紹介された。

上海、蘇州、南京、重慶、深セン、西安といった“一線/新一線都市”の中心部での人気が高い。

趣味嗜好としては「テクノロジー」「旅行」「知識文化」「スポーツ」など、感性と実用を両立するライフスタイルが浮かび上がる。

美意識の高い女性、自動車技術にこだわる博士課程の男性、マツダCX-5歴の長いユーザーなど、三者三様の購入動機も丁寧に可視化されている。

これは、理想(Lixiang)や蔚来(NIO)が得意とする「ライフスタイル共鳴型」のマーケティング手法と非常に近い。

スペック優劣だけでは

こうした取り組みは、「日本ブランド」という看板に甘んじることなく、現地市場に深くローカライズしていこうとする明確な意思表示である。

中国市場においては、すでに自動車は“スペックの優劣”で選ばれる段階を過ぎ、どれだけユーザーの生活文脈に寄り添えるかが重視されるフェーズに入っている。

今や、テック装備や電動性能だけでは新興EV勢に勝てず、ブランドストーリーやライフスタイル提案力のなさは、致命的な競争劣位につながる。

日系アイデンティティ再定義

今回のEZ-60の発表は、長安マツダがその点を深く理解し、「日系であること」をアイデンティティにするのではなく、「中国で選ばれる存在になること」を第一に考えている証左である。

従来の日本的な“職人気質”や“安全・信頼”という強みも、中国の若者に刺さらなければ市場は動かない。

むしろ、日系であることにこだわるのではなく、日系として何を捨て、何を進化させるべきかを問い直すタイミングに来ている。

中国での生き残りかけて

このように、長安マツダEZ-60の事例は、単なる販売好調予感の報告ではなく、日系メーカーが中国市場で生き残るために求められるマーケティングの姿勢を体現している。

今後、トヨタやホンダ、日産などもこの流れに追随し、「製品を作る」だけでなく、「誰がどう使い、どう共感するのか」まで描き出す姿勢が求められるかもしれない。

マーケティングは技術と並ぶ“もう一つの勝負軸”であり、そこに本気で取り組めるかどうかが、中国において、日系の命運を左右することになる。

出典: https://mp.weixin.qq.com/s/v0cJ-MtblgFewqDBJNTIfA

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