日本で一番使える衛星通信となるか?劇的進化の「au Starlink Direct」をスマホのプロが体験した率直な感想

Tokyo,,Japan,,09,29,2024:,Glass,Facade,Of,Au,Sign,
 

茨城県の山中で行われたau Starlink Direct体験会。4月のサービス開始時よりも格段にスムーズになった送受信に、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは驚きをあらわにしています。石川さんは自身のメルマガの中で、au Starlink Directのライバルで楽天モバイルが組んでいるASTの対照的なアプローチと比較しながら今度の展開に注目しています。

au Starlink Directの使い勝手が大幅に向上―-やはり衛星通信サービスは「数」が重要なのか

2025年7月17日、au Starlink Direct体験会があるということで茨城県高萩にある「大和の森」高萩スカウトフィールドに行ってきた。

au Starlink Directは、サービス開始時に東京都あきる野市養沢と栃木県にある蓬莱山で体験済み。「同じ事をやってもなぁ」と思っていたが、高萩では全く異なる体感となった。

この7月にStarlinkは、つながる衛星が増えている。サービス開始時は軌道傾斜角が53度の衛星だけをつかんでいたが、総務省の認可がおり、43度の衛星も追加されたという。これにより、つながる衛星の数が2倍、約600基との通信が可能となった。

実際、4月のサービス開始時に試した際には、衛星につながる時間が短く、つながってもなかなかSMSが飛ばないといった状態であった。正直「これじゃ、なかなか厳しいな」というのが感想であった。

しかし、7月17日の体験会では、ほぼずっとアンテナピクトに「衛星」の文字が出ている。SMSがすんなりと飛んでいく。2台のiPhoneを並べ、どちらも衛星につなぎ、SMSを交互に飛ばしあうなんてこともできた。4月にはSMSを飛ばすこともままならず、SMSを交互に飛ばし合うなんて不可能だったことを考えれば、歴然の進化と言える。

従来は2分程度かかっていたSMSの送信が30秒内で完了する。やはり、スターリンクにおいては「数」がものを言う世界のようだ。上空をつぎつぎと衛星が飛んでくれば、圏外にならず、SMSもすぐに送れる。

ここで気になるのが、楽天モバイルが組んでいるASTだ。

ASTはとにかく飛ばす数が少ない。アンテナが巨大ということで、1つの衛星で広い範囲をカバーすることに強みがあるとしている。

自分の位置を衛星がカバーするとしても、角度がきつくなる可能性がある。山間部では周りに木が生い茂っており、ちゃんと電波をつかまないことも考えられる。

アメリカのように「まわりに遮蔽物のない、砂漠を走る道で使う」というのであれば、問題ないが、日本のような土地となると、どこまで実用的になるのか、サービス提供を待ってみないことにはわからない。

また、au Starlink Directはすべてのスマホで使えるわけではなく、メーカーごとに対応機種が決まっている。一方でASTはすべてのスマホで使えると断言しており「本当に大丈夫なのか」という気がしている。

楽天モバイルというか三木谷浩史会長としてはASTからプラチナバンドをふかせ、全国をカバーするつもりのようだ。その際、衛星につながっているという表記は出ず、あくまで通常の基地局と通信をしている振る舞いになるという。

果たして、一般的なスマホ側が「1.7GHzやSub6につながっていないときは衛星のプラチナバンドにつなぎにいく」という挙動を正しくやってくれるのか。

このあたりもASTの見所と言えそうだ。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: agustin.photo / Shutterstock.com

石川 温この著者の記事一覧

日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 石川温の「スマホ業界新聞」 』

【著者】 石川 温 【月額】 初月無料!月額550円(税込) 【発行周期】 毎月 第1土曜日・第2土曜日・第3土曜日・第4土曜日(年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 日本で一番使える衛星通信となるか?劇的進化の「au Starlink Direct」をスマホのプロが体験した率直な感想
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け