本書で一番強調したかったのは、大地震が起きた時に、日本の国力が下がったままだと、インフラの整備はおろか、食料もエネルギーも不足して、国民は飢えに直面するかもしれないということだ。これを回避するには、
- 食料自給率の上昇
- 国内生産力の上昇
- イノベーションを起こせる人材の養成
を大地震が起きるまでに、速やかに進める必要がある。
食料自給率は現在38%と言われているが、家畜の餌や、作物の肥料や野菜の種は輸入に依存しているので、これらを勘案した実際の自給率は10%未満である。足りない食料は輸入すればいいと簡単に言う人もいるが、現在は世界的に見たら食料は不足していないが、南海トラフ地震が起きた時にはどうなっているかわからない。火山の大噴火や気候変動により寒冷化すると、穀物が獲れなくなり、日本に回ってこなくなるかもしれない。実際、1991年のフィリピン・ルソン島のピナトゥボ火山の爆発により、地球の気温がちょっと下がった影響で、1993年の日本の夏は冷夏になり米の収量が激減した。ある程度以上の年配の方の中には、この年、日本米が入手できずに、タイ米や中国米を食べたことを覚えている人も多いだろう。
もっと重要なことは国力が下がったままだと、円安が進行して、輸入食料の価格が暴騰して貧乏人には買えなくなることだ。これを回避するには食料自給率を上げて、国民を飢えから守る以外にない。理想的には食料自給率を100%以上にして、外国から輸入しなくとも食料が足りるようにすることだ。
自給率を上げるにはどうすればいいのか。食料生産に従事している第一次産業の生産者がーーー(『池田清彦のやせ我慢日記』2025年7月25日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)。
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