まさに「災害級」と呼ぶ他ない猛暑に襲われている日本列島。そこにはやはり地球温暖化が深く関係していたことが明らかになりました。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、気象予報士として『ニュースステーション』のお天気キャスターを務めていた健康社会学者の河合薫さんが、今年7月下旬の酷暑に関する極端気象アトリビューションセンターの分析結果を紹介。さらに日本近海で起きている「海洋熱波」がもたらす深刻な影響について解説しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:燃える地球
プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。
燃える地球
衝撃的な結果が明らかになりました。
東京大学や京都大学などの研究者で構成する極端気象アトリビューションセンター(WAC)の分析で、7月下旬の記録的な酷暑は、人間活動による地球温暖化の影響がなければほぼ起こりえなかったことがわかりました。
また、現在の気候条件での発生確率が、31年に1度程度の確率で起こりうるものだったのに対し、温暖化が進んでいない場合は、1万1,472年に1度程度だったことが確認されたのです。
2014年にIPCCがまとめた「第5次評価報告書」の最も厳しい想定に基づくシナリオでは、21世紀末の世界平均気温は21世紀初頭に比べて2.6~4.8℃上昇すると予想されていました。2100年の日本の夏は、夜も30℃を下回ることがなく、日中は40℃を超える日も珍しくないと。
2100年を待つ間もなく、2025年の今、私たちはそれを経験してるわけです。
最悪なのは日本近海の海域で海水温がかなり高い状態が続く、「海洋熱波」が起きていることです。
海洋熱波で大気との温度差が縮まると雲や霧ができにくくなるため、直射日光が長時間照りつけ、さらに気温が上昇してしまうのです。
それだけではありません。
台風が日本に近づいた際にも勢力を保ったまま接近し、発達するリスクも高まります。各地に被害をもたらす線状降水帯も、海水温が高いと水蒸気が継続的に補給されるため、極めて危険です。
また、海洋熱波は冬のドカ雪にもつながります。今年の2月3~4日に北海道の帯広で、12時間降雪量として国内観測史上一位の120cmを記録しましたが、これも海洋熱波が影響したと考えられているのです。
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