外国人労働者の激増と日本人の賃金低下はリンクしている
では、この外国人労働者が増えた時期に日本人の平均賃金がどう動いているかチェックしてみましょう。
日本人の平均賃金は、高度成長期以降、ずっと上昇を続けていましたが、1997年をピークに減額に転じています。それ以降、2010年代後半まで20年に渡って減額し続けたのです。
昨今では、さすがに賃金が下がりつづけていることに国も危惧し、安倍首相などの賃上げ呼びかけもあって、2010年代後半から若干上昇に転じていますが、それでもまだ30年前のピーク時には達してないのです。
だから、外国人労働者が増加するのと、日本人の賃金が下がるのは、完全にリンクしていると言えるのです。
日本人の平均賃金
平成3(1991)年 447万円
平成9(1997)年 467万円(最高値)
平成10(1998)年 465万円
平成11(1999)年 461万円
平成19(2007)年 437万円
平成22(2010)年 412万円
平成23(2011)年 409万円
平成27(2015)年 420万円
令和2(2020)年 433万円国税庁の統計発表から著者が抜粋
「日本人の給料が下がっていると言っても、ピーク時と比べて10%も下がっていないじゃないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、その感覚は間違っています。
というのも、現代の世界では経済の規模が毎年拡大しているのだから、時とともに賃金も上がるのが普通です。
実際に、先進国の1997年と2017年の賃金の上昇率は下の表のようになっています。この表は、主要先進国の1997年を基準とした賃金増加率を示したものです。
2017年の先進諸国の賃金(1997年を100とした場合)
アメリカ 176
イギリス 187
フランス 166
ドイツ 155
日本 91出典(日本経済新聞2019年3月19日の「ニッポンの賃金・上」)
これを見れば、先進諸国は軒並み50%以上上昇しており、アメリカ、イギリスなどは倍近い金額になっていることがわかるはずです。
その一方で、日本だけが下がっています。イギリスの187%と比較すれば日本は91%であり、半分しかありません。つまりこの20年間で、日本人の生活のゆとりは、イギリス人の半分以下になったといえるのです。
賃金が上昇しているのは、先進国のみならず世界中で同様の傾向です。戦争や紛争、飢餓などのよほどの悪条件ない限り、賃金というものは時間とともに上昇するものなのです。平成以降の日本だけがこのセオリーから取り残されているのです。
2020年以降、日本は、平均賃金で韓国に抜かれてしまいました。
この2~30年、日本は明らかに「異常な賃金低下」に見舞われているのです。
そして、日本の「異常な賃金低下」と、外国人労働者の激増の時期は完全に一致します。
もちろん、日本の賃金が上がらないのは外国人労働者だけが原因だとは言えません。が、それも原因の一つではあるのです。
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