経営者はクレイジーであれ!「カレーメシ」を生み出した日清食品HD安藤徳隆副社長のビジネス哲学

 

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

このインタビューで徳隆氏は壮大な目標を口にしました。その年に初めて打ち出した最適化栄養食事業の可能性について、「もう1つ日清食品ができるくらいの規模になる」と語ったのです

ドラッカーは著書『マネジメント』でこう記しています。「企業の目的は顧客の創造である。したがって、企業は二つの、ただ二つだけの企業家的な機能をもつ。それがマーケティングとイノベーションである」

「日清食品の商品は、必ずしも本格的な味に近づけることが正解ではない」

創業者はすごいなと思いました。ちょっとスナック感がある味付けの、「スナック麺」という新しいカテゴリーを生み出した

「カレーメシ」というブランドにしたのは、カテゴリーとしての新しさが感じられると思ったからです。響きも、文字数も。それでいて、日清食品らしい「ジャンクさ」と「バカっぽさ」もある

本格的なカレーを再現しようとしているわけじゃないし、ターゲットにしていたのは若い消費者です。「米がリゾットみたいな少し硬めの食感でも気にせず食べちゃうのではないか。それなら米の食感よりも利便性が大事だろう」と考えました

電子レンジ調理が不要な湯かけに切り替えた16年ごろまでは、消費者に対して「カレー好きの人たちのためのカレーメシ」といった訴求をしていた。「これでは、いつまでもカレーの市場の枠から出られない」。そんな限界を感じていた。そこで生み出したのが「メンよりメシ。」というマーケティングだった。カップヌードルのパッケージがバーンと爆発して、「メンよりメシ。」という甲高い声のナレーションとともにカレーメシのパッケージが出てくるテレビCMを大々的に展開したのだ

最初に課題となったのはコメでした。カレーライスとか丼とか、やはりコメが主食になっているメニューが多いですから。ただ、コメはそのままだと糖質が多くて、カロリー当たりに必要な栄養素を入れられない。そこでコメを分解して、余分な糖質などを取り除いて、食物繊維とかミネラルなどを入れてもう1回コメの形に再合成する手法を確立したんです

会社が生み出すことのできる価値や、会社が戦う舞台がどんどん大きくなるようにデザインする--。それが社長、経営者の仕事だと思っています

結局、責任を取るのは自分じゃないですか。そこに1%でも「失敗する」とか「負けるかもしれない」というのがあると、やっぱり組織に伝染していきますよね。トップは絶対にそういうのを見せちゃいけない。だから経営者はクレイジーじゃなきゃダメなんです

「はじめに」で、記者の竹居智久氏がドラッカーを引用しながら挙げた企業の2つの機能、「イノベーション」と「マーケティング」の両面において、ヒントになる一冊だと思います。

第7章に、安藤徳隆氏が2度見直したという「日清10則」が紹介されていますが、これを読むだけでも、起業家精神が刺激されると思います。

ぜひ読んでみてください。

image by: Wacharin Soponthumkun / Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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