エスカレーターの突然停止やプロンプターの不具合という、トラブル続きで幕を開けたトランプ大統領の国連演説。苛立ちを隠せぬ彼の口から飛び出したのは、誤解と嘘が入り交じった相変わらずの「トランプ節」でした。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では国際政治経済学者の浜田和幸さんが、このドタバタ劇の真相を解説。さらに石破首相が満面の笑みを見せた、一国の宰相としてはいささか情けない理由を紹介しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:トランプ大統領の国連演説は誤解と嘘が満載!
トランプ大統領の国連演説は誤解と嘘が満載!
ぶっちゃけ、トランプ大統領は「嘘も方便」というより、「嘘こそ命」といった価値観にどっぷり浸かっているようです。
9月23日、国連総会で演説を行うためメラニア夫人と共に国連本部に到着しました。
車を降りて、演説会場に向かう昇りエスカレータに乗ったのですが、突然、止まってしまったのです。
トランプ夫妻はあわや振り落とされそうになったといいます。
何とかエスカレータを歩いて登り切り、演説会場にたどり着きましたが、壇上に立ち、いざ話を始めようとしたところ、今度は演説原稿を投影しているプロンプターの画面が真っ黒で動きません。
仕方なく胸ポケットからメモを取り出してそれを見ながら演説をせざるを得ませんでした。
それやこれやで怒り心頭に達したのでしょうが、トランプ氏は当初の演説原稿にはなかった嘘を交えた冗談を連発。
曰く「俺を乗せたエスカレータが突然止まったのは、テロリストの仕業に違いない。国連の安全対策はなっていない。もう少しで俺もメラニアもけがをするところだった。防犯カメラをチェックして犯人を至急捕まえろ!」
また、「俺のプロンプターを機能マヒに陥れたのは、国連内部の犯行に違いない。俺の演説を妨害しようとする悪意に満ちた犯罪だ。同時通訳のマイクも動いていないじゃないか!」。
要は、「こんな危険な国連には分担金など払えるか」という宣戦布告に他なりません。
しかし、実際のところ、今回の騒動を引き起こした原因は全てトランプ氏の側にあったことが明らかになっています。
なぜなら、エスカレータが急に動かなくなったのは、トランプ夫妻を撮影していたホワイトハウスのカメラマンがエスカレータの上部に足を踏み入れたため、安全装置が起動して緊急停止になっただけの話。
更に、プロンプターに関しては、演説者の側のスタッフが作動させることになっています。
ですからプロンプターの画面が真っ黒になったり、同時通訳のマイクが機能しなかった責任はホワイトハウスのスタッフにあるということです。
実際、トランプ氏の前後の演説者の場合は、何ら障害が発生していません。
しかも、演説時間は15分と決められていたのに、トランプ氏は決まりを無視して1時間も長演説するというトランプ流に終始していました。
締めくくりには「俺が大統領にカムバックして7か月の間に7つの戦争を終わらせた。国連など何もしてないじゃないか。世界の多くの国が俺にノーベル平和賞を授与しようと言っている。世界を平和にしているのは俺だ!早くノーベル平和賞をくれ!」
ぶっちゃけ、ここまで自己中な大統領は前代未聞ではないでしょうか。
しかし、そんなトランプ氏と「立ち話できた!」と顔面笑顔の石破首相でした。
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