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公明党から「熟年離婚」された高市早苗を厳しく批判、マトモな感性と知性を兼ね備えた自民党議員の名前

高市早苗新総裁による「企業献金の規制強化拒否」が決定打となり、ついに自民党との連立を解消した公明党。26年間に渡り受け続けてきた「学会票」の恩恵を失う「比較第一党」は、今後どのような事態に見舞われることになるのでしょうか。今回のメルマガ『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、公明離脱の原因となった高市氏の党内人事や姿勢を鋭く批判。さらに政治ジャーナリストが用いた言いえて妙な「熟年離婚」という例えと、SNS上で自民ベテラン議員が展開した「新総裁への苦言」を紹介しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:自民と公明の熟年離婚

政治ジャーナリストの見事な例え。自民と公明の連立解消という「熟年離婚」

10月8日、公明党が高市早苗総裁の反省ゼロの自民党人事に激怒して、連立離脱を視野に入れたと報じられました。この時点で、多くの有識者は「なんだかんだ言っても公明党が自民との連立を解消するわけがない」「所詮はポーズ」などと言っていました。

しかし、あたしは知り合いの公明党議員から「今回は全国の学会婦人部からの突き上げが激しくて上層部の押さえが効かない」と聞いていたので、ツイッター(現・X)で以下のような投稿を繰り返して、公明党が離脱するように煽りまくりました。

公明は選挙のたび自民に協力して来たが、自民は公明など無視して米国追従の軍拡や選択制夫婦別姓の先延ばしなど真逆の政策を強行し、とうとう公明の議席を減らし始めた。そろそろ公明は「百害あって一利なし」の自民党との連立など解消し、いったん下野して政策が一致するマトモな野党と共闘すべき。


昨年10月の衆院選で裏金議員を軒並み公認した自民が56議席減と大惨敗したのは自業自得だが、自民と連立を組んでいるというだけで代表と副代表を含む8議席を失った公明は「いい迷惑」だったろう。今年7月の参院選でも公明は自民のトバッチリで6議席減。公明は百害あって一利なしの連立など解消すべき。


公明が自民に対して何より怒っているのは政治とカネの問題が全く解決していないのに企業献金を継続しただけでなく裏金問題でも統一教会問題でも真っ黒で2カ月前に秘書が有罪になったA級戦犯の萩生田光一に幹事長代行という役職を与えたこと。この国民を舐め切った人事を見直さないと連立解消かも?

そして10月10日、公明党の斉藤鉄夫代表は自民党の高市早苗総裁と会談を行ない、連立継続の条件として「企業・団体献金の規制強化」を求めました。

しかし、高市総裁が「いったん持ち帰らせてほしい」などと抜かして即答を避け、またいつもの先延ばし体勢に逃げようとしたため、斉藤代表は「この態度は裏金問題に疑念を持つ国民感覚と大きく乖離する。これではクリーンな政治を目指す我々としても連立の継続は無理だと判断した」と述べ、1999年から26年間も続いた自民党との連立を解消するという大英断を下したのです。

また、斉藤代表は、裏金問題で秘書が有罪になったばかりの萩生田光一氏を幹事長代理に据えた高市総裁のトンデモ人事についても「国民感情を無視している」として、全国の学会婦人部を中心に抗議の声が挙がっていると伝えたそうです。
この報道を受けて、あたしはツイッターに【今日の一句】として、こんな川柳を投稿しました。

自民より骨太だった公明党 きっこ

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高市が口にした「妻から熟年離婚を切り出された時の夫」の台詞

……そんなわけで、今回の公明党の連立離脱というドタバタ劇について、政治ジャーナリストの二木啓孝氏は、10月13日(月)の文化放送『長野智子 アップデート』で、「熟年離婚」というあまりにも的確過ぎる表現で解説してくれました。

二木啓孝氏 「今回の連立離脱劇、私は単純に『あ、熟年離婚だな』と思いました。高市さんは斉藤代表から『一方的に言われた』『何で私が?』と言ってたけど、このセリフって、妻から熟年離婚を切り出された時の夫のセリフだよね」

長野智子さん 「そうですね」

二木氏 「熟年離婚てのは、長年にわたる亭主の横暴な振る舞いについて、奥さんはずーっと沸々と思って来たわけだよね」

長野さん 「はい」

二木氏 「で、奥さんの不満はコップの中に溜まり続け、ついにその水が溢れた!そして『あなた離婚してね!』って、簡単な話ですよ。亭主は奥さんをないがしろにして来たのに、どうせ自分が何をしても黙って着いて来るだろうと、そういう驕りがずっとあったんですよ。それに奥さんはずっと耐えて来た」

長野さん 「そうですよ」

二木氏 「しかも義理のお父さんの麻生太郎という人は『公明党は癌だ』って言ってるんだから、26年も連れ添って来た夫でも、もう嫌になるよ」

長野さん 「しかも外で他の人と会ってたんですからね」

二木氏 「そうそう、高市さんは公明党より優先して5日の日にこっそりと玉木さん(国民民主の玉木雄一郎代表)と会ってたんだから、普通は『何をあなた、他の女とデートなんかしてんのよ?』ってなるよね」

長野さん 「でも一般的な熟年離婚で言うと、別れた後、奥さんすごく元気で楽しくて人生を満喫するけど、捨てられてしまったほうは悲しかったりするじゃないですか?今回はどうなるんだろうって思います」

二木氏 「だから、公明党の人たちは『あ~せいせいした』ってなるけど、はて、生活はどうするのかな?‥‥という問題もある」

長野さん 「ああ、公明党はね」

二木氏 「亭主のほうはポツンと家にいて、次は誰を引き込もうかって考える」

長野さん 「生々しいなあ(笑)」

二木氏 「熟年離婚のドラマを観ているような感じですね」

……そんなわけで、女性である高市早苗総裁が「長年にわたって横暴な振る舞いを続けて来た夫」で、男性である斉藤鉄夫代表が「ずっと我慢し続けて来た妻」という役回りなので、ちょっとややこしいかもしれませんが、まさに「言い得て妙」な喩えだと思いました。

そして、そんな「熟年離婚」のような公明党の連立離脱によって、喫緊の問題として急浮上したのが、当初の15日の予定を20日過ぎに先送りした「首班指名選挙」なのです。

公明党の斉藤代表は「われわれは高市氏には投票しない」「当然、斉藤鉄夫に投票する」と言っていましたが、その後「野党との話し合いによっては野党の代表に投票するという選択肢もありうる」と言い出したのです。

まさか公明党が本当に連立から離脱するわけなどないと高市をくすぐっていた…じゃなくて、タカをくくっていた自民党は、1回目の投票で高市総裁が過半数を獲れなかったとしても、結局は決選投票で高市総裁が首相に選ばれると楽観視していました。

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確定的となった自民党の国政選挙における致命的な惨敗

しかし、確実だと思っていた公明票が一瞬にしてすべて消えただけでなく、場合によっては敵対する野党の代表に投票すると言い出したのです。高市総裁、これは心中穏やかではないでしょう。

首相を決める首班指名選挙は衆参両院の本会議で行なわれ、投票総数の過半数を得た議員が指名されます。衆議院での会派別勢力は、自民が196で公明が24なので合わせて220、連立が継続されても過半数の233に13も足りなかったのに、公明が連立を解消したことで、自民の不足分は3倍近い37にまで広がってしまったのです。しかも、自分が蒔いた種で。

しかし、公明党の連立離脱がどれほどの大ごとなのか、斉藤代表と会談をした時点での高市総裁は、残念ながら1ミリも分かっていませんでした。高市総裁は公明党の求める「企業・団体献金の規制強化」に応じず、その対価として公明票を失ったわけですが、これが何を意味するかと言えば、選挙、特に国政選挙における致命的な惨敗なのです。

1999年に自民党と連立を組んで与党となった公明党は「小選挙区は自民党候補へ、比例は公明党へ」という徹底した必勝パターンで自民党を支えて来ました。連立与党である公明党にとって、自民党が勝つことが公明党の安泰につながり、伝統芸のように「国土交通大臣」のイスが約束されていたからです。

衆議院の小選挙区は全国に289ありますが、公明党が支持母体である創価学会を動員すれば、1選挙区あたり平均約2万票が動きます。この約2万票が自民党候補の得票に上乗せされるのですから、よほどの強敵でもいない限り、小選挙区の自民党候補は昼寝していても当選します。これが、安倍派を中心とした「裏金問題」が発覚するまでの自公政権でした。

しかし、現在の自民党は、昨年9月の石破政権下での衆院選を見れば顕著なように、公明党の選挙協力があっても56議席も減らす大敗をしました。ま、これは、数多くの裏金議員を恥も外聞もなく公認した上に、非公認とした悪質な議員にまで1人2,500万円という選挙資金を振り込んでいたことが発覚し、有権者の怒りを買ったことが最大の原因です。

しかし、それでも「もしも公明党の選挙協力がなかったら?」という試算をしたのが、選挙の票読みを行なって来た「JX通信社」です。

昨年の衆院選の小選挙区で、自民党候補が当選したのは計132選挙区ですが、もしも公明党の選挙協力がなかったとして「JX通信社」が試算したところ、実に52の選挙区で自民党候補が落選していたとの結果が出たのです。さらには、自民党候補が次点候補と当落線上での接戦となる選挙区も10ほどあったのです。

公明党が協力しても56議席も減らした自民党ですが、もしも公明党の協力がなければ、少なくとも計108議席、最大で118議席も減らしていたのです。

そして、次の衆院選では初めから公明党の協力を得られないことが決まってしまったので、もしも高市総裁が首相に選ばれたとしても、首相の伝家の宝刀である「解散総選挙」というカードは封じられてしまったのです。何しろ、最低でも50を超える議席を失うことが分かっているのですから。

…そんなわけで、「公明との連立継続よりも企業献金を取る」というあまりにも浅はかな選択をしてしまった高市早苗総裁に対して、自民党内から厳しい声を挙げたのが、「熟年離婚」とは真逆で、あたしと同じ11月22日の「いい夫婦の日」がお誕生日のベテラン議員、船田元(はじめ)衆院議員でした。

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自民にもまだ存在したマトモな感性と知性を兼ね備えた議員

船田議員は13日までに自身の公式フェイスブックに「公明党連立離脱のショック」と題した長文の投稿をし、高市総裁を厳しく批判しました。以下、一部を抜粋します(全文は最後のリンク先で)。

船田元議員 「先日の公明党の自民党との連立離脱は、まさに青天の霹靂である。憲法調査会以来20年近く懇意にしてきた斉藤鉄夫代表には、何とか連立にとどまってほしいと、私もメールで再三お願いしたが、首脳会談における自民党、高市総裁の対応が十分でなく、遂に斉藤代表から連立解消が告げられた。

船田議員 「懸案の一つである政治とカネの問題を、自民党がのらりくらりと引き延ばした上に、今回の人事で不記載議員の一人(萩生田光一氏)を要職につけたことで、堪忍袋の緒が切れたと思う。企業・団体献金の受け皿制限は、やりようによっては自民党も対応出来るはずなのに、それもやらずに先送りでは、公明党が怒るのも当然のことではないか。

船田議員 「直近の報道によると、公明党の小選挙区候補に自民党候補をぶつける準備をしているようだが、これはあまりにも大人気ない、というか、正気の沙汰ではない。公明党を『本当の』野党に追いやるつもりなのか。自公の地方組織の間では今なお協力関係を大切にしたいとするところも多く、これまで壊れると、多くの自民党議員は困難に直面する。野党の思う壺ではないか。

船田議員 「また可能性としては、『総総分離』即ち、総理と総裁を分離する案もある。過去2回自民党内でその可能性を探ったことがあるが、実現はしていない。この場合、石破総理に退陣を撤回してもらい、当面はこれで国会を動かし、企業・団体献金の改革も含めた目先の懸案を処理し、その上で公明党との話し合いをもう一度やり直せないだろうか。それも難しいのであれば、高市総裁に一度退いていただき、早急に総裁選挙をやり直して、新しい総裁のもとで、連立の枠組みをはじめとした政権構想の立て直しを模索すべきである。

船田はじめ - Home | Facebook

…そんなわけで、お誕生日が同じという親近感からオベンチャラを言うわけではありませんが、自民党にもマトモな感性と知性を兼ね備えた議員がまだいたことに驚きました。

まるで悪夢の安倍政権時代に戻ったかのような最悪の高市人事を目の当たりにして、もはや自民党は完全にオワコンになってしまったと思っていたあたしにとって、党内からこうした声が出るということは、大空を覆い尽くした暗雲の隙間から一条の光が差したような希望となりました。がんばれ、はじめちゃん!

(『きっこのメルマガ』2025年10月8日号より一部抜粋・文中敬称略)

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