自殺者の数、過労死の数、減少した年度もあります。
しかし、ここに示した“リアル“を引き起こした大きな原因は社会にあります。
経済・生活問題、仕事・学業に関するストレス、 過重労働、人間関係、将来への不安、孤立、いじめ、ハラスメント、家族との問題など、複数の社会的要因が複雑に絡み合い、「本当は生きたい」のに生きる力が奪われていくのです。
そもそも、なぜ、長時間労働がなくならないのか? なぜ、法律を守らない企業がいまだに存在するのか。しかも、政府は「働きたい改革」などと銘打ち、残業規制緩和に動いてるのですから、誰のための政治なのか。
それに・・・「人」は「数字」ではないと思うのです。
小中高生の自殺者数「529」という数字では決して知り得ない、一人一人の人生があります。「体温」と言い換えてもいい。数字にした途端、その人生が、温度が見えなくなる。過労死や過労自殺を余儀なくされた人たちは、私たちと同じ日常の中にいる「隣人」だったにもかかわらずです。
私は大学院のときに「量的な調査(アンケートなどを実施し統計的に分析する手法)だけに頼ると実態に合わないことがある」と何度も教育されました。
臨床でドクターを経験したのち大学院に戻った先生は、「質的調査(インタビューなどから分析する手法)は、個人的な意見で汎用性がないと非難する人が多いけれど現場でホントに生かされるのは、生の個人的な声だ」と教えてくれました。
その真意は「それぞれの人生があり、それぞれの事情がある」という、実にシンプルで当たり前のことだと改めて思うのです。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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