「生成AIに夢中になった社長が立ち上げた生成AI活用推進プロジェクトリーダーになってしまいました」そんなお悩みが世界的コンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんのもとに届きました。赤羽さんは自身のメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』の中で、その相談に真摯に答えています。
社長が生成AIに夢中になり、私が生成AI活用推進プロジェクトリーダーになってしまいました。誰も見向きもしていません。
Question
社員30人ほどの人材紹介企業に勤めて8年、一応経営企画チームに所属しています。社長が新しいもの好きで、生成AIにはまっています。生成AI活用推進プロジェクトを立ち上げることになり、あろうことか、私がそのプロジェクトリーダーに任命されてしまいました。逃げ回っていたのですが、どうも無理そうです。ただ、アナログな会社で誰も見向きもしていません。どこからどうしかけていけばいいでしょうか。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。お気持ち大変よくわかります。
アナログな会社で、生成AIに対して誰も見向きもしない状況、というのは辛いですね。
ただ、これは絶好のチャンスです。
これから生成AIの導入、活用が大事なのは間違いないからです。これは一過性のものではありません。御社のような会社が劇的に変わり続けることが必要で、もしそうできないなら、じり貧になり、近い将来、淘汰されます。
それがわかっているから、社長も生成AI活用推進プロジェクトを立ち上げ、本気で進めようとされているわけです。
そのプロジェクトリーダーに任命されたのは、素晴らしいチャンスです。ご自身がそこまで使ってこなかったならこの機会に徹底的に使いこみ、また業務にも導入し、周辺部門にも紹介して生成AIがいかにすごいかを皆さんに理解してもらえばいいです。
一度に全員は無理ですし、必要もありません。まずは身の回りから始めてください。
他社がどのように導入しているかも積極的に聞き回るといいです。
生成AI導入・活用のイベントは今多数開催されていますので、それらにこまめに通っていれば、その人から学びたいと思えるような人が5人や6人見つかるはずです。
それらの人に詳しく話を聞きたいとか、意見交換したいと連絡すれば、3人に2人以上は受けてくれると思います。
学んだことはすぐ社内でも共有し、生成AIの活用に感動した人たちのグループを少しずつ大きくしていきます。15~20人になる頃には、「え? そんな使い方があったんだ」「すごいなあ」と驚くような使い方をしてくれる人が社内からも出始めます。
それをすぐ全社に共有していきます。最初は週1回くらい全社員へのメールで伝え、少しずつ関心が高まってきたら、全社生成AI活用ベストプラクティス共有会を月1回開催します。
こういうことを繰り返していくと、最初は徐々に、途中からは結構なペースで生成AIにはまる人が出てきますので、それをさらにベストプラクティス共有会でシェアしていきます。
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並行して、顧客ニーズの把握、整理や在庫管理、売上計画などで生成AIを使って役に立つシステムの開発を進めます。
これは二手に分かれて進めます。
1組は、外部のサービス、ベンダーなどを使ってすぐにも使えるサービスを見つけ、試験導入するチーム。
2組目は、内部でバイブコーディングで頑張って開発するチーム。こちらは他社でバイブコーディング仲間を作り、どんどん意見交換、情報交換をしていく必要があります。というのは、バイブコーディングはシステムが少し複雑になると全く前に進めないこともよく起きるからです。
それへの対策はコンテクストエンジニアリングと呼ばれ、LLM(大規模言語モデル)の記憶の悪さ、特性に配慮して、うまく動くようにアレンジしながら進める方法ですね。これなども、仲間とやりとりしたほうが確実に何倍ものスピードで進めることができますので、やらない手はありません。
こういった形でできるところからどんどん成果を出し、多くの社員が恩恵をこうむるようになると、急激に機運が盛り上がっていきます。
最初からあまり心配することはありません。
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