米国と台湾「握手」の代償。大国に奪われるTSMC(台湾積体電路製造)と“新冷戦時代”幕開けの予兆

 

ハワード・ラトニック商務長官はかつてテレビ番組に出演し、「我々の最終目標は半導体のサプライチェーンのすべてをアメリカに持って帰ること」と断じている。トランプ大統領も習近平国家主席との会談後の米CBSテレビのインタビューで、「2年後には工場の操業を開始し、半導体市場で非常に大きなシェア(40%~50%)を獲得する」と予告している。「現状ではほぼゼロに等しい。本来なら100%を握るべきだった」と本音を漏らしたのだ。

アメリカが半導体のサプライチェーンを握るべきだという発想は、コロナ禍で半導体の供給が止まり自動車産業の生産がストップした時からの危機感だ。だとすれば、これはトランプ政権だけが持つ欲求ではないと理解すべきだ。

頼・民進党が中国の戦いに拘泥する裏側で、実はもっと恐ろしい大国にロックオンされてしまったということだ。

現在、アメリカは大量の麻薬をアメリカに運び込んだという理由でベネズエラに米軍を派遣しマドゥーロ政権に圧力をかけている。トランプが狙っているのはベネズエラの政権交代だと言われているが、本当の目的はベネズエラの豊富な金鉱と石油資源だとされている。それを手に入れるために傀儡政権が必要なのだ。

アメリカを再び偉大にする(MAGA)一つの選択なのだろう。

大統領就任直後からグリーンランドに野心を向け、カナダをアメリカの「第51番目の州」と呼び、パナマ運河はアメリカが管理すべきだと主張した流れとも重なる。

このアメリカに決定的な弱みを見せることに頼は何の抵抗も感じないのだろうか。

皮肉なことだが、いまもしトランプ政権からの圧力を回避しようとすれば、世界では中国かロシアとの紐帯を深める以外に道はない。

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