ホンマでっか池田教授が初めて「不眠症」に?眠れないつらさを知った夜に気づいたこと

 

かつて、乳がんの手術を受けた患者が、様子を見に来た主治医からセクハラを受けたと訴えて、裁判になったことがある。患者は4人部屋にいて、周囲の状況から患者が主張するようなセクハラをすることは不可能だったのだが、患者はリアルだと信じ込んでいるため、その主張は信憑性を帯び、検察官も裁判官も騙されて、医師は有罪の判決を受けた。最終的には最高裁で無罪になったが、検察官や裁判官は術後せん妄に関しては素人なので、専門家の意見を広く聞けば、こんな悲惨なことにはならなかったと思う。それにしても、人生のかなりの年数を棒に振った医師は気の毒だったというほかはない。

かつてアメリカで、眠っている間に宇宙人に連れ去られて、宇宙船でエッチなことをされて、気が付けば元のベッドに戻されていたという経験を話す人が沢山いて、マスコミが取り上げこともあり、覚えている方がいるかもしれないけれども、これもせん妄である。レム睡眠は覚醒と睡眠の中間領域で、レム睡眠が長く、夢をよく見る人では、睡眠と覚醒が連続的と感じられることもあると思う。

かつての私のように眠れないという経験がない人には不眠の苦しみはわからないと思う。一晩中目が冴えて、なんで眠れないんだろうという経験をすれば、不眠がいかに苦しいかが理解できる。致死性家族性不眠症という稀な病気がある。プリオン病の1種で、最初、イタリアのミラノ周辺で見つかった。通常は遺伝病だが、ーーー(『池田清彦のやせ我慢日記』2025年12月12日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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