差押(さしおさえ)と聞くと、多くの人が「人生の終わり」や「取り返しのつかない事態」を想像するかもしれません。しかし実際には、差押には明確なルールと手続きがあり、その仕組みを理解していれば、冷静に対処することも可能です。今回のメルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』では、著者の吉田猫次郎さんが、借金と税金で異なる差押の仕組みを整理するとともに、やってはいけない対応と、現実的に取るべき選択について解説します。
差押を妨害してはいけない
差押にもいろいろありまして、たとえば借金の差押と税金の差押は大きく異なります。根拠となる法律の条文も、借金は民事執行法、税金は国税徴収法と異なりますし、差押に至るまでのプロセスも大きく異なります。
借金の差押は、延滞→督促→期限の利益の喪失→訴訟→判決や和解など→それを怠った場合に、やっと債権者は差押ができる。そんな流れです。(根拠:民事執行法)
いっぽう、税金や社会保険料の差押は、延滞→督促→差押と、かなり手数が省略されます。スピードも、調査能力も、借金の比ではないほど早いのが特徴です。(根拠:国税徴収法)
【妨害すると】
差押は確かに怖いものです。ですが、一体何がどう怖いのか、あらかじめわかっています。オバケや宇宙人とは違うのです。
また、遅れているものを払えば、差押はかなりの確率で回避できます。「払う」=「誠意」なのです。
差押を回避したければ、全額が無理だとしても、少しでも払いましょう。
最もやってはいけないのは、「妨害工作」です。
たとえば、家が競売にかかりそうな状態なので、競売を阻止するために、妙な形で占有したり、競売にかかりにくいよう、玄関に怪しげな団体の表札をかかげたりすると、罪に問われます。
そう、差押の妨害工作は、刑事事件になってしまうおそれがあるのです。
ざっとAIで調べただけでも、以下のようなものがありました。
- 強制執行妨害罪(刑法96条2)
- 競売等妨害罪 (刑法96条3)
- 民事執行法96条 執行妨害に対する制裁
- 国税徴収法187条 滞納処分の執行妨害
- その他 公務執行妨害罪、詐欺罪、横領罪なども
また、最近のニュースでも、歯科医師が税金の差押を防ぐために財産を移動させ、国税徴収法違反で起訴されたとの記事を見かけました。
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015088141000
【どうしても避けられない場合は】
受け入れましょう。
家の競売も、売掛金差押も、受け入れましょう。
合法的手段で未然に防ぐ方法もありますが、それは、前述した通り、古典的な手法になります。「誠意を尽くして、少しでも払うこと」 です。それができなければ、現実を受け入れましょう。
間違っても、刑事事件に発展するような妨害工作などしてはいけません。
恥ずかしながら、私も差押された経験があります。
それも、1回や2回ではありません。何回もされました。
ですが、それが原因で倒産するようなことはありませんでした。それどころか、差押の事実を隠さずに周囲に打ち明けたところ、助けてくれる人まであらわれました。
差押イコール倒産と、安易に結びつけてはいけません。
まだまだやれることはあります。
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