移住労働者を「人間」とも思っていないのか?韓国エアガン事件が暴いた「使い捨て労働」の闇

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韓国・京畿道の工場で、雇用主が移住労働者の急所にエアガンを密着させ高圧空気を噴射するという衝撃的な事件が発生しました。被害者は2度の手術を要する重傷を負っています。年間3,000人以上が死亡するという統計もある中、「安い労働力」として外国人を使い捨てる社会構造は韓国だけの問題ではありません。今回のメルマガ『キムチパワー』では、この事件を入り口に、日韓両国が抱える移住労働者の人権問題に迫ります。

文明国の恥

急所を狙ったエアガン噴射事件

京畿道華城市のある製造業者の代表が、移住労働者の身体内部にエアガン(空気噴射器)を発射して重傷を負わせるという衝撃的な事件が発生した。昨年、外国人労働者が荷物に縛られたままフォークリフトで持ち上げられた事件をも上回る猟奇的な行為だ。韓国社会が移住労働者をいかに蔑んでいるかをまざまざと示した野蛮な事件に、国際社会に対して顔を上げることもできない状況だ。

警察によるとメッキ業者の代表で60代のA氏は2月20日、工場の作業台で身をかがめて作業していたタイ出身40代の外国人労働者B氏の急所にエアガンを密着させ、高圧状態の空気を噴射した。B氏は呼吸困難の症状を呈し緊急手術を受けたが、直腸など臓器の損傷により2度目の手術が必要な状況だ。

B氏は2011年に雇用許可制(E-9)ビザで入国したが2020年に在留期間が満了し、現在は不法滞在の身分である。正確な経緯を精査する必要はあるが身分が不安定な移住労働者に対して絶対君主のごとき事業主が日頃から粗雑に扱っていた可能性が高い。A氏は取材陣の前で他の外国人労働者に再現させながら「ふざけてやっていて当たってしまった」とでも言うかのようにさして気にも留めない様子で語りさえした。

移住労働者への暴力は後を絶たない

移住労働者を対象とした野蛮な行為は後を絶たない。昨年7月には全南羅州のレンガ工場で働いていた30代のスリランカ人労働者が、レンガの山にビニールで縛り付けられたまま30分ほどあちこちに持ち上げられる映像が公開され衝撃を与えた。劣悪な処遇などにより1年間に死亡する移住労働者が3,000人を超えるという統計(国家人権委員会)もある。

経済を支える150万人の存在

移住労働者は韓国経済を支える重要な柱となって久しい。現在、国内の移住労働者はA氏のような未登録滞在者も含め150万人に上ると推算される。建設や農業の現場では外国人労働者の比率が20%を超えるなどすでにほとんどの産業における中核人材として定着している。

彼らをパートナーとして見るどころか蔑視と嘲笑の対象と見なすことは文明国の恥だ。事件に対する徹底した真相究明とともに移住労働者全般に対する差別や過酷行為など人権侵害の実態を余すところなく調査しなければならない。「コリアン・ドリーム」を胸に抱いてやって来た人々に、絶望しか与えない国であってはならない。【ここまで韓国日報社説ベース】

日本も「対岸の火事」ではない

韓国のエアガン事件は確かに衝撃的だが、日本も制度そのものが長年にわたって外国人労働者の人権を構造的に侵害してきたという意味では批判できる立場にはない。むしろ両国とも、移住労働者を「安い労働力」として使い捨てる社会構造を根本から見直す段階に来ていると言えるだろう。それにしてもこんな「エアガン」事件のような悪質ないたずらは日本にはないことを祈る。

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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