むしろ「中国有利」に変化。米国とイスラエルのイラン攻撃で“中国が窮地”なる日本メディアの大きな誤読

 

中国が台湾の国民党主席から引き出した「共通の政治的基礎」

一方、原油の輸入が止まることでの中国経済へのダメージだが、これに関しては日本の一部で騒がれた「ダメージ」よりも、中国の「備え」の手厚さがかえって目立っているのではないだろうか。

そのことはエネルギー不足が懸念される台湾に対して「統一されれば何も心配なくなる」と発信したことからもうかがえる。

さて、その台湾で注目を集めたのが中国国民党(国民党)の鄭麗文主席の訪中だ。

鄭麗文主席が到着したのは4月7日。翌日、南京市の東郊外にある中山陵(孫文の墓)を参拝した後に上海でお決まりの中国のハイテク技術を見学。最後に北京に向かうというスケジュールだった。

上海ではECプラットフォームの美団の上海本社を訪れ、鄭主席自ら注文したタピオカミルクティーが「空から降ってくる」のを体験した。

ハイライトは北京での習近平国家主席との会談だが、国共(国民党と共産党)両党の指導者の会談は10年ぶりだった。

この会談で中国側は、鄭主席から「国共両党は、『九二共識』(92コンセンサス)の堅持と『台湾独立』反対という共通の政治的基礎を堅持」という言葉を得て、大いに満足だったはずだ。

鄭主席の訪中終了に合わせて発表された台湾に対する新たな10項目の措置は、上海市と福建省の住民を対象にした、台湾本島への「個人旅行のパイロットプログラム再開を促進する」ための取り組みなど、台湾に対する優遇政策であった。

直行便の拡大の他、台湾のドラマやドキュメンター、アニメの輸入も認める方針だという。

現状、国民党は野党であり、その国民党内でも今回の訪中への評価は固まっていない。だが、それでも中国にとっての成果が大きいとおもわれたのは、鄭主席が中国を離れる際に「平和が最高のお土産」と語った点にある。

これは単なる台湾統一に向けたものではなく、紛争に悩む世界に向けて、中国の姿勢が協力にアピールできたからだ。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2026年4月19日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録下さい)

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Octavio Hoyos / Shutterstock.com

富坂聰この著者の記事一覧

1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 富坂聰の「目からうろこの中国解説」 』

【著者】 富坂聰 【月額】 ¥990/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

print
いま読まれてます

  • むしろ「中国有利」に変化。米国とイスラエルのイラン攻撃で“中国が窮地”なる日本メディアの大きな誤読
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け