ひきこもり支援はどう変わったのか?新ハンドブックが示す転換点

 

そして、今回のハンドブックとなるが、大きな転換として、名称を「ハンドブック」にしたのは「個別的で最適な相談支援を実現することに裁量性と柔軟性が必要となることを考慮」したものである。

新しいハンドブックは、ひきこもりの定義を「何らかの生きづらさを抱え生活上の困難を感じている状態にある」「家族を含む他者との交流が限定的(希薄)な状態にある」「支援を必要とする状態にある」の本人やその家族(世帯)とし、その期間は問わないと明記している。

さらに生きづらさは「その人自身が感じている固有のもの」であり、限定的な交流も「その状態は多様」であるとし、支援が必要な人の内面に焦点を当てたのは大きな変化だ。

さらに「支援を求めている場合だけではなく、自ら支援を求める声を発することができない場合も多々ある」とし、支援側は受動的な活動だけではなく、積極的なアウトリーチも求められると同時に適切なコミュニケーション能力も必要であろう。

これらの定義は結果的に支援モデの中心は福祉と地域となるのが必然となり、結果、ひきこもり支援の目標を、これまでの社会参加から、本人の意思による自律とした。

ハンドブックでは、この自律について「本人のペースに合わせながら、本人やその家族が、自らの意思により、自身が目指す生き方や、社会との関わり方等を決めていくことができるようになること(自立ではなく自律)としました」とし、自律を「本人の尊厳や主体性、自尊感情を回復する意味」と説明し「その自律に向けたプロセスを本人と支援者が共有しながら一歩ずつ進むことを目指す」と説明する。

自分が自らの生活を運営する自立ではなく、自分の意思決定により行動する自律に重きを置くのは、心を焦点にあてた結果として当然ではあるが、それを一人で行うのは難しい。

より支援者の活動が試されることにもなる。

ハンドブックは141頁にも及ぶが、5つの姿勢、6つの留意点、50にも及ぶポイントのほか、30の事例が示され、実際の支援に役立つ内容になっている。

約150万人(2023年)いるとされるひきこもりの支援の新しい展開が期待される。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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