11月の中間選挙まで残すところ2ヶ月となったアメリカ。しかしその政局は、もはや民主党と共和党という「二大政党の対立」だけでは読み解くことが困難な状況となっているようです。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では作家で米国在住の冷泉彰彦さんが、それぞれ内部に深刻な対立を抱える両党を4つの勢力にカテゴライズし、その複雑な関係性を整理。さらに各勢力の政策や価値観の違いを検証しつつ、中間選挙の結果がトランプ大統領の進退や2028年の大統領選に及ぼす影響を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:米政局の鍵は分断の細分化
どう考えても異常なアメリカ中間選挙。米政局の鍵は分断の細分化
9月に入りました。アメリカでは11月の中間選挙へ向けて2ヶ月、二大政党の候補が決まる中で本選が進行中です。一方で、日本の場合、次の国政選挙は2028年の参院選までないようにも見えますが、2027年の春には統一地方選があり駆け引きが始まっています。政局の一寸先は闇という感じは日本の場合も高まっています。
そんな中で、日米どちらの場合も与野党が激突するという構図ではなく、与党も野党も分裂と細分化を抱えています。日本の場合は構図が見えにくくなっており、表面的には財政規律か減税かという対立があるようですが、その膜を剥がしてみると、その下の層には様々な思惑が動いており、かなり混沌としている状況でもあります。日本の混沌の正体は、一言で言えば、地域別に事情の格差が拡大しているという切り口から見えてくるのだと思います。
一方で、アメリカの方は比較的構図は単純です。二大政党がそれぞれ、2つに分裂しており、合計4つの勢力が争う形になっているからです。問題はこの4つの立場の違いと言いますか、対立というのがかなり激化しているということで、お互いに妥協の余地がどんどん少なくなっているのです。この4つの勢力による分断、あるいは分断の細分化というのは、恐らくこの2026年の中間選挙だけでなく、2028年の大統領選を見てゆくうえでも重要になりそうです。
では、まずアメリカの状況の検討から始めることにしましょう。ここでは、その4つのグループというのを略称をつけて単純化しておこうと思います。
まず、クラシックな共和党、つまりブッシュやマケイン、あるいは引退しつつあるマコネルなどの路線については、「共和党的な(リパブリック)共和党(リパブリカン)」ということで、RRとすることにします。RRというと、何となく鉄道(レイルロード)とかロバート・レッドフォードを連想しますが、それは無関係で、とにかく極めてRなRという意味です。
共和党の分裂はより右派のグループが形成されていることで発生していますが、この右派についてはアメリカでよく言う「MAGA」ということにしておきます。問題は、MAGA=トランプでは「ない」ということで、このあたりに共和党の苦悩があると言えます。トランプの立ち位置は、MAGAとRRの中間ぐらいであり、その微妙なバランスの上に乗っています。そして、MAGAにはアンチ・トランプのモメンタムが生まれており、右からトランプを攻撃するということになってきています。
それはともかく、民主党についてはクリントン夫妻=オバマ=バイデン=ハリスの系譜をDD、つまり「民主党的な(デモクラティック)民主党(デモクラッツ)」と呼ぶことにしましょう。DDというと、UNIXのコマンドかという感じですが、こちらも今回限りの略称ということでご理解ください。これに対して、左から激しくチャレンジしているのはDSA(民主社会主義)ですが、これは一般的な通称になっています。
非常に単純化して言えば、左から順に言うと、DSA>DD>RR>MAGAという並びになります。では、全く独立した4つのグループが激しく対立しているのかというと、そうでもあり、またそうでもないという状況です。まず、DSAとDDの対立は比較的「切り分けが明確」ですし、対立もガッツリ衝突中です。この2つは明らかに分化して独立していると言えます。
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