トランプ「オンタリオ湖はアメリカ湖」「大西洋も太平洋も改名」の荒唐無稽。“寸劇”まで演じた独裁者が抱える中間選挙への切迫感

 

比較的シンプルな「トランプ大統領弾劾罷免」の構図

問題は共和党です。まず、ドナルド・トランプ(DT)という人物並びに彼の政権というのは、果たしてMAGAなのかRRなのかというと、これが難しいのです。立ち位置的には、DTはMAGAとRRの中間ぐらいになります。MAGAが分裂してアンチDTのMAGAと、DT支持のMAGAに分かれているという言い方がされることもあります。では、DT支持のMAGAがアンチDTを憎んでいるのかというと、憎んでいるのはDT本人だけであって、イデオロギー的にはほぼ重なるのです。

一方で、DSAがDDを憎んでいるのと、MAGAがRRを憎んでいる度合いというのを比べてみるのならば、共和党内のほうが団結している感じもあります。ただ、DT氏本人とその周辺に関しては、RRの多くは弾劾裁判になったら裏切るという疑心暗鬼にかられているので、予備選でガンガン刺客を送ったわけです。また、アンチDTの極右に関しては、DTはかなり手を焼いていることもあり、共和党内も全くもって一枚岩ではありません。

そんなわけで、共和党に関しては「MAGA」「DT」「RR」という3つのグループに分かれていると考えることもできます。ですが、積極的に「DT」という票があるのかというと、これは定義が難しいと思います。DTが大好きで、DTの本来のMAGA思想も大好き、ついでにDTが過半数を維持するためにやっているRRとの妥協や連携も大好きで、とにかくDTを応援、という票はそんなにないと思います。また、DTだけが好きで、RRもMAGAも大嫌いという票もあまりないと思います。

ですから、以降の分析では共和党は2つ、つまりアンチDTの極右まで含めた「MAGA」と「RR」にまとめて議論をすることにします。確認ですが、DTという人物そのものについてはその中間ぐらいの位置感覚でご理解ください。では、以降は論点別の対立構図を見てゆきたいと思います。

1)DTの弾劾罷免について

これは比較的シンプルな構図です。弾劾罷免に賛成なのは、まず「DSA」と「DD」で民主党は一枚岩です。残りの「RR」には一定の条件で造反の可能性があり、民主党+RR造反者の数がどうなるかで、大統領の運命が決まります。まず、RRの中でも、「当面は改選のない上院議員」「中道票の多い選挙区の下院議員」などは、悠然と造反できます。

ですから、ここまでの予備選シーズンにおいて、大統領は「造反しそうなRR」には徹底して刺客を送ってきました。一定の成果はあったのですが、あまり候補の「タマ」が良くないと、本選では中道票が逃げて民主党候補が勝ってしまうので、非常に難しいところです。ですが、大統領としては「RR」の穏健派が当選したら、造反される可能性があるので、とにかく予備選で落とすという動作を徹底してきています。

2)イスラエルへの態度について

この問題では、共和党の側はほぼ一枚岩です。MAGAの最右翼の中には一定程度の数、ネタニヤフの行動はアメリカの国益ではないとか、もっと右に行くと反ユダヤの白人至上主義などもあります。ですが、これは数的には少ないです。その他の圧倒的多数は、ハマスやヒズボラは極悪テロリストで、これに対する防衛行動としてのイスラエルの行動は支持でまとまっています。

問題は民主党で、DDはイスラエル支持であり、ネタニヤフ政権の強硬路線にも基本的には同伴しようという構えです。ですが、DSAの場合は、ほぼ全員が「パレスチナにおける非戦闘員殺戮には絶対反対」という立場を取っています。この対立は非常に深いものとなっています。前回、2024年の大統領選では、ハリス候補のイスラエル支持を嫌って棄権に回ったDSA票が結果的にトランプ勝利をアシストした州もあるくらいです。

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