トランプが作った「ハンター・バイデンは極悪人」のイメージ
ところが、そのボウは、2015年に46歳で死去します。原因は脳腫瘍とされていますが、その遠因はイラクでの劣化ウラン弾による被爆ではないかと言われてもいます。しかし、このボウの死というのは、ハンターには厳しい事件でした。
父親のバイデンは、凄いショックを受けて延々と落ち込み、ボウのことばかりを語るようになっていったそうです。そして、ハンターとしては、ボウが一家の記憶のなかで理想化される中では、名誉回復、つまり「兄を超える」チャンスを永遠に失ったのでした。まさに家族の悲劇です。
では、亡くなったボウとハンターの兄弟は不仲であったのかと言うと、そうでもないようです。その証拠に、ボウは長男に「ハンター2世」と命名しています。また、ハンターは長女に「ナオミ」という1972年の事故で亡くなった妹の名をつけていますし、ボウもその後で生まれた長女のミドルネームを「ナオミ」としています。
更に、ボウの死後にボウの奥さんと、義弟であるハンターは、男女の関係になっていたそうで、これは事実のようです。つまり、ボウとハンターの兄弟は、不思議な紐帯で結ばれているとも言えるし、妻をめぐる三角関係とも言えます。その奥には、バイデン父と2人の兄弟の関係に「シングルペアレントの苦労」だけではない、一種の強圧的なものがあったと言う推測も成り立ちます。
2点目は、ウクライナ問題です。ロシアがウクライナを攻めるはるか前、それこそ、ゼレンスキーがまだコメディアンだった時期から、ハンターは、ウクライナに関与していました。つまり、汚職や腐敗で悪評が立っていた時期のウクライナ財界において、パイプライン経由の天然ガスビジネスを「まともな西側規準の企業」にするためのコンサルとして入っていたのです。
やがて、ハンターは、ウクライナの天然ガス会社である「ブリスマ・ホールディングス」の取締役になっています。これは2014年から19年の期間であり、この期間で月額5万ドル(約536万円)の報酬を受けていたそうです。この報酬は高いと言えば高いですが、では、それ以外に何かウクライナでの悪事に関与していたのかというと、そうではありません。
問題は、この時期、つまり第一期目のトランプ政権が、大統領御大自身が全くの「スッカラカン」であり、しかも家業のビジネスを延命させるために、ドイツ銀行の融資を受けていた時期と言うことでした。ドイツ銀行は融資を渋り、仕方なしにサウジ王室とプーチンに保証人になってもらっていたのでした。ですから、トランプはプーチンに首根っこをつかまれていたのでした。
そこでトランプは、ウクライナのゼレンスキーをディスる、そのためにブリスマと言う企業が怪しいとか、ハンターが怪しいということを、延々と語り続けたのでした。結果的に、MAGAの連中は、このトランプ講談を大いにエンジョイして、ハンター・バイデンというのは腐敗した極悪人だと思い込んだのです。そして、間接的にこのことは民主党の票を削いでいきました。
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