“ダメ息子”の逆襲?自らの過去をさらけ出し“アンチエリート層”受けを狙うバイデン次男の奇妙な戦略

 

トランプ式へのパロディになっている「受け狙い」のネタ

2つ目と3つ目は、これはもっと「受け狙い」のネタといっていいと思います。ですが、実は手が込んでいるとも言えます。まず「ケージ内の格闘技」というのは、ハンターもドンJRも「塀の中に入ってもおかしくない存在」という自虐をかませつつ、プロレス好きを見せれば「庶民感覚だ」というトランプ式へのパロディになっているわけです。

また「$LAPTOP」というミームコインは、正に暗号資産「TRUMP」のパロディに他なりません。そして、実際に発行してみたものの、乱高下して大して儲からなかったという「オチ」までついています。

こうした「場末の際物ショー」的な行動ですが、勿論、ヒラリー派などのエリート系の民主党主流派は「眉をひそめて」いるわけです。ですが、保守の側からは「結構面白いじゃないか」という反応も出ています。これに乗じて、ハンター氏は、2028年の大統領予備選への参戦を口にするようになっています。

ハンター氏は勿論自分が本命候補ではないことは知っていると思います。ですが、自分が出て、TV討論の場で例えば「父の仇敵カマラ」などのエリート性を暴露できれば、面白い議論が喚起できるのでは、そんな思いはありそうです。カマラを叩けば、認知能力の低下している父はともかく、何かと確執の伝えられた継母のジルとの関係を修復して、バイデン家の家長として認知されるかもしれません。

それはともかく、Z世代などAIの脅威に晒され、団塊やミレニアル世代の金ピカなエリート主義は「本当に無理」と思っている世代が有権者の中核になってきています。そんな中で、トランプ主義という右派のポピュリズムは「さすがにやり過ぎて失速」しています。これに対して、リベラルな中での庶民主義のようなものを、どう打ち立ててゆくのか、これは難しい課題です。

この点については、民主党上院議員でありながら、製鉄業の復権を訴えてトランプとの連携を口にしているジョン・フェタマンなどとも部分的に共通するものがあるかもしれません(フェタマンは共和党への移籍の噂が絶えません)。とにかく、ヒラリーやオバマ、そしてハリスのような「リベラル・エリート」は「もう無理」という世代の声にどう応えるのか、このハンター氏の「お騒がせ」な行動は、その先駆、あるいは一種の触媒的な行動ではあるといえます。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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