いつでも戦闘は起こりうる可能性はある。
特に旧ユーゴスラビアの中心であったセルビアは19世紀からのセルビア民族主義が力を帯びる傾向にある。
連邦国家であるボスニア・ヘルツェゴビナを構成するスルプスカ共和国はセルビア人が多数を占めるが、10月4日の議会選挙では、親露的なセルビア民主主義勢力が勝利し政権を維持している。
国連戦争犯罪法廷で大量虐殺の関与、投獄や人道に反する罪で裁かれた初代大統領でセルビア民族主義のカラジッチ氏を擁護してきたミロラド・ドディックが9月まで政権の座にあった。
ドディック氏はそのセルビア民族主義によりデイトン合意履行妨害で出馬禁止となった経緯がある。
今回の選挙はドディック派が選挙に勝ち、この結果、セルビア民族主義の政権が維持されたことになった。
欧州全体を見ればフランス、イタリアではデモが暴徒化するケースが相次いでいる。
社会不安は人を内向きにさせ、排外主義に向かうのが常だ。
「セルビア」のキーワードは、サラエボでセルビア民族主義者の発砲で第一次世界大戦の発端となったことを思い出す。
セルビアは、2009年にEU加盟申請したものの、まだ加盟できていないことは、EUと距離を置く姿勢の表れかもしれない。
2000年にセルビアのミロシェビッチ大統領が「ブルドーザー革命」によって権力の座から降り、「国際法廷」で戦争犯罪を裁かれた(本人は2006年に判決が出る前に死亡)ことを念頭に、この革命を西側諸国が後押ししたとして、ロシアは今回のセルビアでのデモを警戒する。
前述の学生デモに対し、ロシアのラブロフ外相は西側諸国がデモを支援しないように指摘している。
セルビアの選挙結果は、民族主義とリベラルに分断される世界の輪郭を鮮明化していくように思える。
この記事の著者・引地達也さんのメルマガ
【関連】【特別寄稿】なぜ早逝の作曲家・滝沢洋一の音楽は“時の試練”に耐えたのか?セルビア人音楽家ジェリコ・ルキッチが考察するジャパニーズ・シティポップの「源流」と「再発見」のナラティブ
image by: Shutterstock.com









