与党側に協力した国民民主にも向けられている野党の怒り
定数削減をめぐる国民と維新の動きを俯瞰すると、いかに両党が「自民党のパートナー」の座をめぐってしのぎを削っているかが浮かび上がる。
連立相手として、自民党総裁に就いた高市氏が最初に打診したのは国民民主だったとされる。しかし、当時は野党側にも連携の動きがあり、玉木代表の態度は定まらなかった。与野党のはざまで逡巡する玉木氏を横目に、素早く自民の連立相手に滑り込んだのが維新だった。
国民民主の玉木代表や榛葉幹事長にとって、当時の悔しさはひとしおだったはずだ。そして今回の3党合意に至る最終段階で、今度は維新が交渉の蚊帳の外に置かれた屈辱も相当なものであろう。
しかし、維新としてもあくまで45減にこだわっていては、いつまでも実現の見通しが立たない。野党はもちろん自民党内にも異論が多い政策だけに、どこかで妥協せざるを得なかった。吉村洋文代表は「これはひとえに維新の力不足」と悔しさをにじませつつも、自維連立の枠組みを守る道を選んだ。定数削減が頓挫すれば連立の存在意義自体が問われ、維新の評価を落とすことになりかねないからだ。
そうなると、ほくそ笑むのは麻生太郎氏と国民民主のラインだ。吉村氏にとって、今回の3党合意は連立を維持するための“渡りに船”だったとも言える。
もちろん、議論から置き去りにされた他の野党が一斉に反発するのは当然である。そもそも、先進国の中で日本の国会議員定数は決して多くない。それをさらに削り、民意を吸い上げるパイプを細らせてよいのかという根本的な問いが残る。本来であれば、国会や国民の間で丁寧な合意形成を図るべきテーマだ。
しかも、比例代表だけの大幅削減が妥当かどうかを十分に検証することなく、「連立維持」という党利党略の産物として実行されることへの批判は免れない。
小選挙区では地盤や知名度、資金力がものをいう。自民党の強みはそこにある。これに対し比例代表は、多様な民意や世論の風、中小政党や新人・女性候補者の挑戦を受け止める器となってきた。比例枠が削られれば、そうした多様な声が真っ先に国会から排除されるリスクが高い。
比例削減の影響を最も強く受けるのが公明党だ。獲得議席の大半を比例代表が占めるため、小選挙区と比例のバランスを「3対2」に保つべきだと主張してきた同党の岡本三成代表は、「究極に雑な法案」と厳しく批判する。参政党などの新興政党にとっても死活問題であり、神谷代表も「大きな政党の党利党略だ」と憤りを隠さない。
野党の怒りの矛先は、実質的に与党側に協力した国民民主にも向けられている。参議院で与党が過半数に届かない中、国民民主の賛成によって法案成立が決定づけられたからだ。
国民民主の狙いが、将来的な自民との連立政権参画にあるのは間違いない。しかし「自維国」の連立政権への道のりは容易ではない。維新は「身を切る改革」を掲げる新自由主義的な色彩が強く、国民民主は労働組合(連合)を支持基盤に持ち、生活重視を掲げる。外交・安保では一致しても、経済・社会政策での隔たりは大きい。
自民党内からは、参院に25議席を持つ国民民主と組めれば「維新抜きでも多数を握れる」との声が漏れ聞こえる。果たして、衆院議員定数削減という「政治のディール」を経て、本当の果実を手にするのはどの政党なのだろうか。
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