【おもてなし】カードが使えないことを鼻で笑う外国人観光客

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カードと経営

『ビジネス発想源 Special』第231号より一部抜粋

今、日本の各地で外国人観光客を呼び込もうと、インバウンドだ、インバウンドだとやたら躍起になっています。

で、そういう観光セミナーのようなものが地方自治体や観光団体などの主催でよく開催されているのですが、そこで内容を聴いていても、どうも決定打に欠ける気がしています。

私の中では、まず地方がインバウンドに本気で取り組むとしたら、まず真っ先にやらなければいけないのは、

タクシーのクレジットカード端末搭載義務化

だと思っています。

東京や大阪などの都市圏では、タクシーでクレジットカードは当たり前ですが、地方に行くと、はっきり言ってまだまだです。

いまだにクレジットカードが使えなかったり、手書きでカード番号を写していたりします。

飲食店や雑貨店なども使えないケースは多いですが、こういうのは、タクシーのような外国人ならばすぐに使ってしまうものにクレジットカードが使えるようにならなければ、そこに波及していかなくなります。

そして、タクシーでカードが使えるということは、今度は鉄道やバスの券売機などでもカード決済ができる仕組みが当たり前になっていかなければなりません。

私はよく、地方でタクシーに乗った時に、「どうしてクレジット端末を導入しないんですか?」と、運転手さんに尋ねます。

すると、だいたい返ってくる答えは、

「だって、カード会社への手数料がかかるから、利益が小さくなっちゃう」

「使う人があまりいないかもしれないのに、設備と手間だけが増えちゃう」

と、自分たちのことばかりで、「お客様が便利かどうか」という視点の回答は1回たりとも聞いたことがありません。

お客様視点ではないということは当然、お客様の信頼は得られないということになります。

インバウンドを成功させたいと思ったら、まずは海外に実際に足を運んでみて、「どういうことが一般的なのか」を実際に確かめてみることです。

1区間だけの電車の運賃でさえも、数品目のスーパーの支払いでさえもササッとクレジットカードで済ますことができる海外の実情を実際に体験すればいいでしょう。

これだけ「お金を持ち歩かない」ことがいかに一般的かを実際に体験してみれば、外国人観光客に現金を払わせるということがどれだけ負担を強いているかが、すぐに分かるはずです。

交通機関だけではなく、あらゆる店がそうです。

クレジットカードが使えないということが海外の人にとってはどれだけ下に見られるか、どれだけ鼻で笑われるかというのは、海外で買い物をすればすぐに分かります。

「手数料を取られちゃう」とか「自分たちの利益が減っちゃう」とか、そういう自分たちの取り分のことだけを考えるから、誰も来てくれなくなるのです。

クレジットカードの手数料というのは、「本来、それだけのパーセンテージの手数料を取ってもきちんと経営が成り立つべきだ」という理論の上に、業種ごとに算定されているもの。

それで自分に損失を感じるということは、その人は世界的な一般感覚から脱落している、経営の素質がないと言っているのと同じことです。

手数料を取られることが問題なのではなく、その手数料分で、お客様と自分たちはどのようなことにプラスになっているのか、という考え方を持つようにしたいものです。


【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)————

・クレジットカードの仕組みと、その手数料の割合の根拠について、ノートにまとめる。

 

『ビジネス発想源 Special』第231号より一部抜粋

著者/弘中 勝
読者数10万人のメールマガジン『ビジネス発想源』の著者。全国の企業にマーケティングを指導している。研修・講演等実績・著書多数。まぐまぐ大賞2014・有料部門ビジネスジャンル第一位のメルマガ、ぜひ一度サンプルをお読みください。
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