部下が退職願を出してきたなどということになれば、上司としてはいろいろと悩むところですよね。そんな時、安易に引き留めていいものなのでしょうか。今回の無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』では著者の佐藤しょ~おんさんが、結果的に「引き留めない」ことが正解につながるわけを、具体的な理由を挙げ解説しています。
部下が退職願を持ってきたら
今日はメールで頂いた質問に答えます。質問は、
昨日、頼りにしている部下から突然、転職による退職願いの話がありました。昨日の夜は急きょ時間をとって事情を聞きました。
引き留める余地はあるものの、本人の成長を考えると、後押しするのもありかと思ってしまっている今です。このような退職願いを聞いたときに引き留めるべきでしょうか。
です。みなさんならどう答えますか?
これは上位者の立場で考えるのではなくて、退職願を持ってきた部下の気持ちになって考えるのですよ。つまり自分が上司に退職願を持っていくという時に、あなたはどんな状況で、何を考えているのかを考えると答えが見つかるんです。
結論から言うと、会社に於いては退職願を持ってきた人を引き留めてはいけないのです。しこりが残らないようにして、出来るだけ早く出て行ってもらうのが正しい対応です。
ちょっと考えて欲しいんですが、あなたが転職しようかなと考える時はどんな時でしょうか?
▼ 給料が安い
▼ 会社の待遇に不満がある
▼ 他の会社から誘われた
▼ もっと楽しそうな仕事が見つかった
こういうことですよね。今の会社と比較して、もっと良さそうな会社が見つかったから退職願を書いたわけです。これが「転職したいな~」という願望レベルなら話は別ですよ。まだ次が見つかっていないんですから。退職願を書いたということは、そんなステキな会社が見つかってしまったということですから。
今の会社に何か不満がある、その不満を解消してくれる次のお相手が見つかったという状態で、
■ ゴメンね、君の不満をこれから解決してあげるから辞めないで
って言ってももう遅いんですよ。だってこころはとっくに次の会社に跳んで行ってるんですから。男女関係でいえば、相手に不満があった、そこにたまたま良さげな異性が見つかった、あとはホテルに行くだけという状態で、「戻ってきてくれ」って言っても通用しないわけですよ。それと同じです。
こういう人を口説いて止まらせても、早かれ遅かれ出て行きます。未知の楽しそうな未来の扉を開けて、扉の向こう側の世界を見てしまったわけです。そんな人は、必ずいつかそのドアの向こうにある世界を体験したくなりますから。今回は収まっても、半年もしないうちに、今度は別な会社に行きたいって言いますから。
退職を止めてはいけないもう一つの理由があります。大抵の場合、退職を思いとどまってもらうために、
▼ ボーナスを増やしたり
▼ 職位を上げたり
▼ 待遇を良くしたり
というエサを作るわけですね。これが最悪なんです。これって要するに取引をしたということで、これは学習されてしまうんですね。次にまた不満なことがあったら、退職をネタに会社と交渉しようとするんです。そしてその情報は必ず他の社員に伝わります。
○○さん、会社を辞めるって言ったらボーナスが増えたらしいよ
この情報ほど、組織をボロボロにするものはありません。たとえそのまま残ったとしても、他の社員との関係は悪くなりますし、
■ なんだ、会社って脅せば言うことを聞いてくれるのね
という悪しき例を作ってしまうわけですから。
この2点から、決して引き留めてはいけないのです。
逆に社員の立場で言えば、退職をネタに会社と交渉するというのは、まともな会社なら即追い出しに繋がるので、決してやってはいけない手なんです。辞めることをちらつかせた瞬間に、あなたのその会社での未来は全部無くなりますからね。
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