習近平にとって不都合。中国がイーロン・マスクの衛星を乗っ取る日

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大量の衛星を打ち上げ、世界のどこからでも安価で高速ブロードバンドの利用が可能になるという、米スペースX社の「スターリンク」計画。しかし習近平政権にとってそれは、極めて「不都合」な技術のようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国寄りの発言を繰り返してきたイーロン・マスク氏が率いるスペースXを国連宇宙部に訴えた中国当局の思惑を解説。さらにスターリンクの技術を将来的に同国が乗っ取る可能性を指摘するとともに、世界の企業に対して中国と親密な関係を築く危険性を説いています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年12月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】イーロン・マスクの衛星が中国に乗っ取られる?

中国の宇宙ステーションと米スペースX衛星、あわや衝突 マスク氏に非難

12月27日、アメリカの実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXの衛星が、中国が建設中の宇宙ステーションとニアミスを起こしたとして、中国政府が国連宇宙部に苦情を提出しました。これを受けて、中国のSNSでもイーロン・マスク氏を批判する投稿が相次いでいるそうです。

中国が建設中の宇宙ステーションとは、2022年に完成予定の「天宮」。一方、スペースXは世界中に高速インターネットサービスを提供するために1万を超える小型衛星を打ち上げるという「スターリンク」計画を展開しています。そして、そのために打ち上げた衛星が2021年の7月と10月に天宮の軌道に入り、ニアミスが起こったとされています。

イーロン・マスクといえば、電気自動車(EV)のテスラ創業者でもあり、中国市場で工場を持ち、2020年にはテスラ車が中国市場でもっとも売れたEVとなりました。それだけに、「中国で儲けたくせに、中国の宇宙ステーションに危害をくわえるなんて」といった批判が殺到しており、不買運動にも展開しそうな勢いだそうです。

イーロン・マスクはこれまで、中国の自動車メーカーを称賛したり、中国の労働倫理を称賛するなど、中国寄りの発言を繰り返してきました。にもかかわらず、中国政府が一企業であるスペースXへの批判を国連にまで行ったのは、なぜでしょうか。

イーロン・マスクは中国の労働倫理を称賛し、アメリカ人の態度を批判する

前述したように、スペースXの「スターリンク」計画は、世界中のいたるところでインターネット接続を可能にしようというものです。これが実現すれば、アンテナさえ設置すれば良く、光ファイバーなどを引く必要もなく、きわめて安価で高速インターネットの環境が得られます。

そして国土の広い中国においても、内地や山奥など場所を問わずに世界とつながることができることになります。これは、国内で厳しいインターネット検閲を行っている中国共産党にとっては、非常に都合の悪いことです。

経営コンサルタントの竹内一正氏は、このスターリンクが言論統制を敷く中国やロシアなどの独裁国家に、ネット民主主義を広める起爆剤となるかもしれないと論じています。すでにロシアでは、スターリンクを利用した個人および法人に罰金を科す法案が議会に提出されているそうです。

イーロン・マスクの新事業「スターリンク」が習近平の悩みの種になりかねないワケ

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