尹錫悦に立ちはだかる韓国の経済危機。問題山積の中どう乗り越えるのか

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来月には100日が経過する尹錫悦政府。支持率の低下が叫ばれる中、足元の韓国経済も危機に瀕しています。薄氷とも言われる情勢の中、尹錫悦大統領はどう乗り越えていくのでしょうか。今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、現状の韓国経済と未来を不安視する声についても語っています。

羅針盤のない韓国経済、秋が怖い

崔泰源(チェ・テウォン)大韓商工会議所会長(SKグループ会長)は13日、第45回大韓商工会議所済州フォーラム懇談会でSKグループの投資計画について言及した。

チェ会長は「利子が上がり続けるだけに戦略・戦術的な形態で投資を遅延する可能性は十分にある。投資が滞って遅延することはありうるが、(投資を)しない計画はない」と語った。

SKグループは今後5年間、半導体、バイオなど核心成長動力強化のため、2026年までに247兆ウォンを投資すると発表している。ところが部分的ではあるが、やむを得ずこれを修正せざるを得ないことを示唆したのだ。

「戦術的判断」という但し書きを付け投資撤回ではないと付け加えたが、SKハイニックスが忠北清州に4兆3,000億ウォンを投資して増設することにした新規半導体工場建設計画を保留したことが19日わかった。

わずか2か月前、10大主力大手企業を含めた財界は、1,060兆ウォン(112兆円)に上る前例のない、大規模な投資計画を示し周囲を驚かせた。新政府発足と親企業、自由民主主義と市場経済体制への「復帰」宣言およびドライブに対する回答の性格が強かった。過去の政府時代にもあったことではあるが、規模は格別だった。

財界関係者は「過去には全国経済人連合会が投資規模を代わりに測ったり交通整理をしたが、今回の政府に入ってからはその機能がなく顔色だけを特に気にし、一部企業はあたふたと3、4時間で数十兆の投資規模を一気に作ったりもした」という裏話も伝えた。

ただ、超一流企業が政府、家計など経済主体およびグローバル市場との信頼で確認した重大な経営行為を密かに後回しにすることはないということには皆信頼がある。崔会長も「投資をしない計画はない」と話した。他の企業も同じだろう。

問題は、このような緊縮・保守的な経営形態への回帰の動きが単にSKグループやバッテリー、電池素材など新成長投資企業に限らず財界全般の投資および財務戦略修正と変更につながりかねないという点だ。これからが始まりに過ぎないということだ。

すでに設備増設を再検討したり点、原点から見直そうとする企業が増えているという。設備導入、増設を含めた数十兆の大規模投資は、長期間の安定的な需要確保と営業利益創出を前提とすることは当然の話だ。

ところが高為替レート・高物価・高金利など3高とグローバルサプライチェーン撹乱、長期化しているロシア-ウクライナ戦争、米・中主要2か国(G2)葛藤と覇権争いリスクなどで投資環境は改善される兆しがなく、むしろ資金調達負担だけが大きくなる状況になったのでシナリオを点検するのは当然の手続きだろう。

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