人類のあらゆる常識を覆し、私たちの生活を劇的に進化させ続けるAI。しかしそれを活かすのも殺すのもまた、私たち人類であることは間違いないようです。今回のメルマガ『8人ばなし』では著者の山崎勝義さんが、自身が経験した「カスタマーサービス地獄」とも言うべきAIとの複数回にわたる「対決」の一部始終を紹介。さらにその体験を通じて痛感した「永遠の問題」を綴っています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:カスタマーサービスのこと
カスタマーサービスのこと
値の付くものなら何でも上がる時代になってしまった。
その値上げには何種類かの手法がある。
露骨に値段を上げる通常値上げ、内容量などを減らす実質値上げなどである。そしてもう一つ忘れてはならないやり口がサービスの質が何気に下がる「しれっと」値上げである。これは実質値上げのバリエーションの一つで、以前はあった筈のアフターサポート等が同質の状態では受けられない、といった場合などが該当する。
誰でも一度は経験あるのではないだろうか。そう、あの「カスタマーサービス地獄」である。
この地獄の今のトレンドはAIによる電話応対である。
以下は、最近私が経験したその地獄の沙汰の模様である。
「こちらは○○○○カスタマーセンターです。ご希望の内容をピーっという発信音の後に言ってください」
「サービスが受けられなくて困っています。機器の故障か何かでしょうか?」
「お客様がお掛けになっている電話番号当てに参考となるURLを記載したショートメールをお送りしてもいいでしょうか?」
「いいですけど…」
「ありがとうございました(プツっ、ツーツーツー)」
早速届いたURLをチェックしてみる。何のことはない。よくある「FAQ」である。
こう見えて私も結構な大人である。トラブル関係のページは一通り参照済みである。当該トラブルの解決の助けとなりそうな記載が見当たらなかったから電話したのである。しかし私にはある程度の忍耐力がある。もう一度電話することにした。
「こちらは○○○○カスタマーセンターです。ご希望の内容をピーっという発信音の後に言ってください」
「サービスが受けられなくて困っています。機器の故障か何かでしょうか?」
「お客様がお掛けになっている電話番号当てに参考となるURLを記載したショートメールをお送りしてもいいでしょうか?」
「いやです」(本来なら「いえ、結構です」とでも答えるべきところなのだろうが「結構です」を「Oh, yes!」の意と取られたらかなわないので敢えてこう言うのである)
「分かりました。ありがとうございました(プツっ、ツーツーツー)」
私の机の上に光るボタンがあったら「ちょっと、待てい!」とやっているところだ。しかし私は岡山弁(広義)の人気芸人ではないし、まだまだ忍耐力も残っている。もう一度電話することにした。
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