芸能界に走った特大の衝撃。なぜ福山雅治だけがスキャンダルから守られ続けてきたのか?

Venice,,Italy.,05,September,,2017.,Masaharu,Fukuyama,Walks,The,Red
 

中居正広氏の女性トラブルに関連し、突如として浮上した福山雅治(56)を巡るスキャンダル。その背景にはどのような「事情」が存在しているのでしょうか。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』ではジャーナリストの上杉隆さんが、福山氏がこれまでこの種のスキャンダルから守られ続けてきた背景を分析。さらに確実に変化している世界と日本の社会状況について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:福山雅治~最後の聖域が崩れた日

福山雅治~最後の聖域が崩れた日

1.~治外法権の終わり~

2025年8月18日、芸能界に衝撃が走った。「君住む街角」「桜坂」で国民的歌手として愛され続けてきた福山雅治(56)が、フジテレビの「不適切会合」への参加を認めたのである。これは、同姓代(1968年世代)の最後のクリーンスターが、ついにスキャンダルの渦に巻き込まれた歴史的瞬間だった。

事の発端は、フジテレビの第三者委員会が公表した調査報告書にあった。中居正広氏の女性トラブルを機に始まったフジテレビ問題の調査過程で、当時の大多亮専務が主催していた会合の実態が明らかになったのだ。この会合は2005年頃から年に1~2回開催され、福山氏をはじめとする「有力番組出演者」と女性アナウンサーや女性社員が同席していた。

週刊誌『女性セブン』の報道により、福山氏がこの席で「いわゆる下ネタ的な性的内容を含んだ発言」をしていたことが発覚。複数の参加者が「不快だった」と証言していることも明らかになった。福山氏本人も「深く反省しております」とコメントを発表し、事実を認めざるを得なくなった。

だが、この報道を受けた世論の反応は複雑だった。「福山雅治も許されないのか…」「今回の報道は何か違う気がする」「まだ後ろに事実が隠されているのでは」といった声がSNSに溢れた。それは、これまで一度もスキャンダルに見舞われることなく、クリーンなイメージを保ち続けてきた福山氏への驚きと戸惑いの表れであろう。

2.最後の生き残りが守られていた理由

筆者と同じ1968年に生まれた芸能界の友人たち、桐島ローランド、紀里谷和明、松田公太らなど、様々な浮き沈みを経験してきた同世代の仲間たちがいる。写真家の桐島ローランドは江角マキコとの結婚・離婚でメディアを騒がせ、映画監督の紀里谷和明は宇多田ヒカルとの結婚で注目を集めながらも後に離婚。タリーズ創業者の松田公太は政界進出で誤解に基づく誹謗中傷などを浴びる結果となった。

しかし、福山雅治だけは違った。1969年の早生まれで、同世代として歩んできた彼は、まさに「最後の聖域」だった。なぜ彼だけが、これほど長期間にわたってスキャンダルから守られ続けてきたのか。

第一に、福山氏の巧妙なイメージ戦略がある。2015年に女優の吹石一恵と結婚するまで、彼は絶妙なバランスで「独身貴族」のイメージを維持し続けた。ファンに夢を与えながらも、決して女性関係でスキャンダルを起こすことはなかった。結婚後も「良き夫、良き父」として、家族を大切にする姿勢を一貫して見せてきた。

第二に、メディアとの関係性の巧妙さだ。福山氏は長年にわたってフジテレビをはじめとする各局との良好な関係を築いてきた。特にフジテレビとは、月9ドラマ「ラヴソング」(2016年)や「ガリレオ」シリーズなど、数多くの作品で協力関係を維持している。今回の会合も、そうした密接な関係の延長線上にあったといえるだろう。

第三に、福山氏の持つ「大人の男性」としてのブランド力である。ラジオ番組「福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル・魂のラジオ」では、確かに下ネタを交えたトークも披露していた。しかし、それは「大人の男性の余裕」として受け取られ、品格を損なうものではないと認識されてきた。実際、多くのファン、とくに男性ファンにとって、そうした一面も含めて福山氏の魅力だったのである。

そして何より、福山氏は芸能界における「最後の紳士」として位置づけられてきた。スキャンダルまみれの芸能界にあって、彼の存在は一種の清涼剤的役割を果たしていた。メディアも、視聴者も、そして業界関係者も、無意識のうちに彼を「特別な存在」として扱い、保護してきたのである。

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