患者や家族による暴言、暴力、セクハラ、理不尽な要求、それらを「ペイシェントハラスメント」といいます。その問題は医療現場で長年見過ごされてきましたが、とうとう日本看護協会が「断固として許さない」というメッセージを出しました。メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では著者で健康社会学者の河合薫さんが、医療現場で起こっている変化の兆しについて、看護師さんたちへのエールとともに語っています。
「ペイハラ」はダメ!救いの一手になるか?
ペイハラーー。
患者やその家族による医療従事者への暴言・暴力・セクハラ、土下座の強要、金銭要求、執拗なクレーム行為などの「ペイシェントハラスメント」にやっと、本当にやっと日本看護協会のトップが、「断固としてゆるさない」とのメッセージを打ち出しました。
私が大学院の博士課程に在籍していた際、同じ研究室の後輩が「看護師が患者から受けるセクハラ問題」を修士論文のテーマにしました。彼女は看護師歴10年のベテランさんです。
しかし、当時、医療経験者の中ではこういった問題を取り上げるのはタブー視されており、反対する諸先輩方がいる中、研究室の教授の「問題提起は必要」の判断で調査は進められました。
ただ、論文に仕上げる際には、“セクハラ”という表現を使わず、論文の内容の一言一句まで「患者さんを傷つけないように、世間からバッシングを受けないように」と議論を重ね、研究タイトルも「看護師が患者との対人関係において困難を感じる事態とその対処方略に関する研究」とし、あくまでも看護師側の対応策を探る調査としてまとめたのです。
20年以上が経ち、社会に「カスハラ」という新しい言葉が生まれ、定着。
国も動き、厚労省が国内すべての企業を対象に、2026年10月にカスハラ対策を義務化する方針を表明しています。
そんな中での「ペイハラノー!」のメッセージ。
日本看護協会が実施した調査では、精神的な攻撃(24.9%)が最も多く、次いで身体的な攻撃(17.9%)でした。
また、鳥取県が県内の病院と訪問看護ステーション全120カ所を対象に行った調査では、54カ所のうち50カ所でペイハラ事案があったこともわかっています。
多くの看護職は暴言、暴力、ハラスメントを受けても「自分のケアの方法が悪かったのではないか」と自分を責め、患者さんの心情を最優先し、「叩かれても仕方がない」「怒鳴られても仕方がない」と我慢してきました。
しかし、看護師さんだって「人」です。
労働を提供しているだけで、人格を提供してるわけじゃない。
現場の看護師さんたちが、心からやりがいを持って働ける社会になることを心から願うばかりです。
みなさんのご意見お聞かせください。
この記事の著者・河合薫さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com








