田村淳さんが立ち上げた経済メディア「XU(クロスユー)」が新たな挑戦。XU大学しながわキャンパスで鮫洲と五反田がつながる品川の共創で街づくりの未来はどう変わる?

2026.11.05
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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街全体を「学びのキャンパス」に。鮫洲と五反田から始まる品川の共創

運転免許試験場の街として知られる鮫洲。IT企業やスタートアップが集まる五反田。同じ品川区にありながら、まったく違う顔を持つ2つの街がつながると、何が起きるのか。

9月25日に開かれた「XU Conference 2026」第2部のテーマは「XU大学 しながわキャンパス」。

XU大学は、ビジネスコミュニティメディア「XU(クロスユー)」が展開する、学びと社会実装のためのプロジェクトです。

固定の校舎を持たず、企業の施設や街を活動の場に、学生のアイデアと企業の技術、地域の課題を結びつけていくことを目指しています。

今回のセッションでは、鮫洲と五反田・大崎を舞台に、地域の不動産会社、スタートアップ、金融機関などの関係者が集まり、新たな連携の可能性について意見を交わしました。

当日の議論を座談会形式に再構成してお届けします。

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この座談会のポイント

鮫洲:不動産オーナーとの長年の関係を土台に、住民同士の交流を防災や商店街の再生につなげる

五反田:スタートアップの集積が進む一方、海外人材の育成・受け入れと地域への定着が課題になっている

地域間の連携:五反田で培ったIT企業や大学との連携経験を、鮫洲の街づくりに生かす可能性を議論

登壇者

佐藤優里 株式会社ハウスメイトショップ 門前仲町店 店長

佐藤貴信 一般社団法人五反田バレー 五反田バレーユニバーシティ/株式会社サイバード 取締役

森本淳志 日本政策金融公庫 広報部 部長

小田嶋Alex太輔 MC

笹井千織 進行

住民のつながりから始まる、鮫洲の街づくり

笹井 まず、ハウスメイトの佐藤さん。XUと鮫洲で始めようとしている取り組みについて教えてください。

株式会社ハウスメイトショップ 門前仲町店 店長の佐藤優里さん

株式会社ハウスメイトショップ 門前仲町店 店長の佐藤優里さん

佐藤優里 鮫洲といえば、運転試験場をイメージする方が多いでしょう。

鮫洲は商店街が少し寂れてきていたり、若者離れがあったりして、静かなエリアです。

そこをもう少し活性化させたい。

きっかけは、弊社が鮫洲で何棟も物件を管理させていただいているオーナーです。

鮫洲を地元とし、今も暮らしている方です。話す中で「地元を盛り上げたい」という思いを聞きました。

笹井 ハウスメイトというと、仲介のイメージが強いでしょう。地域のオーナーとの関係は、どうつくっているんですか。

佐藤優里 ハウスメイトは、もともと賃貸住宅の管理から始まった会社で、創業から50年以上の歴史があります。

新築からお預かりしている場合もあり、部屋のトラブルや退去のときなど、接する機会が多いんです。

そこでオーナーのやりたいことをずっとサポートしてきました。

このオーナーは、入居者と屋形船を貸し切るなど、住民同士が交流する機会を積極的につくってきた方です。

そのようなつながりを、鮫洲の街全体に広げていきたい。その思いが、取り組みの出発点になっています。

笹井 「防災」に目をつけたんですよね。

佐藤優里 はい。最近は大雨もあり、浸水や土砂崩れも起きています。

オーナーが懸念しているのは、住民同士のつながりが薄い中で、災害時に助け合えるのかということです。

昔からの住人と新しい住人のつながりがないと、防災も進んでいかないでしょう。

小田嶋 このお話には、下町ならではの良さがありますね。渋谷や新宿だと、マンションの隣の人の名前もわからないのが普通です。

笹井 商店街の空き店舗については、どんな可能性がありますか。

佐藤優里 閉店した店舗が多いです。

そこを使って、地域の方が喜ぶお店や高齢者向けのサロン、シェアキッチンなどを小さく始める。そこから人が増えて、様々なお店が増えて、活気が出ていくのが理想です。

笹井 森本さんは、金融業の立場からどう見ますか。

左から 株式会社ハウスメイトショップ 門前仲町店 店長の佐藤優里さん、一般社団法人五反田バレー 五反田バレーユニバーシティ/株式会社サイバード 取締役の佐藤貴信さん、日本政策金融公庫 広報部 部長の森本淳志さん

左から 株式会社ハウスメイトショップ 門前仲町店 店長の佐藤優里さん、一般社団法人五反田バレー 五反田バレーユニバーシティ/株式会社サイバード 取締役の佐藤貴信さん、日本政策金融公庫 広報部 部長の森本淳志さん

森本 商店街の事業者は、私たちにとって重要な融資先です。

さっきのハウスメイトさんの取り組みは、すごいなと思って聞いていました。

というのも、よくあるのが、不動産収入があるので「商店で稼がなくてもいい」とオーナーが物件を整えないケースです。

飲食店などを開業したい人がいても、物件が整っていなければ選択肢から外れてしまいます。整えていくことが重要なんです。

笹井 XUがお手伝いできることはありますか。

小田嶋 私は地方創生のプロジェクトで、北は秋田から南は沖縄まで回ってきました。鮫洲にはとんでもないブランドポテンシャルがある。

運転免許の試験場があるので、名前を知っている人は多い。普通は、名前を知ってもらうところから始まるんです。すでに知名度があることは、むしろ街の資産です。

そこにXUとつながっている技術やアイデアを持つ方々や、公庫のようにファイナンスで協力いただける方々がつながれば、面白い化学反応が起こるでしょう。

森本 XU大学で学生と街をつなぐというのは、すごく意味がありますね。若い人をいかに呼び込むか。世代間の交流があまりないというところもあります。

佐藤優里 地域のつながりを持てないことは、一つの大きな課題だと思います。学生と高齢者の方がつながるような何かがあれば、かなり大きく動き出すんじゃないかと思っています。

笹井 五反田バレーの佐藤さんは、鮫洲にどのようなイメージをお持ちですか。

佐藤貴信 運転免許の試験場のイメージです。

小田嶋さんの、鮫洲にはすでに知名度があるというお話に、ハッとしました。

五反田も名前を知らない人はいないけれど、知っている人は歓楽街のイメージが強い。じゃあ、どうリブランディングしていくか。

場所もそんなに遠くないので、鮫洲と五反田の間で人の行き来が生まれれば、すごい相乗効果が生まれるんじゃないかと思いました。

五反田から世界へ。人材という課題

笹井 続いて五反田・大崎エリアです。五反田バレーの佐藤さん、五反田バレーとは、どのような団体なのでしょうか。

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佐藤貴信 もともとIT企業が集まっていた五反田を、ベンチャーの街として盛り上げようと発足したのが、五反田バレーです。

品川区とも連携しています。また、学びや交流の場を生み出す「五反田バレーユニバーシティ」の活動も進んでいます。

笹井 五反田バレーでは、企業の海外展開にも力を入れているそうですね。

佐藤貴信 はい。ただ、世界とのつながりは、五反田の企業が海外に出ていくだけではありません。海外から人材を迎え入れることも重要です。

五反田に集まる企業にとって、大きな課題の一つが人材不足です。

海外から優秀な人材に来てもらい、日本で経験を積んだ後、母国に戻って活躍してもらう。

日本と相手国の双方にメリットがある、そんな「双方よし」のモデルを考えています。

もう一つ重要なのが、五反田という街や、そこにある企業への愛着です。せっかく五反田で企業が成長しても、六本木や渋谷に移転してしまうかもしれません。

そうならないためには、「五反田を一緒に盛り上げたい」と思えるようなストーリーが必要です。その輪を広げる先頭に、私たち五反田バレーが立てればと思っています。

小田嶋 実は品川区は、2017年からモンゴルの高専との人材交流を進めています。

当初は製造業が中心でしたが、2023年からはIT分野にも連携が広がっています。

笹井 なぜモンゴルなのでしょう。

佐藤貴信 距離が近くて、親日国で、日本に来て勉強する方も多い。今まさに成長の過程にある国です。

企業から見ると、ウランバートルは小規模にマーケティング施策を試せる、実践的な場所でもあるんです。

笹井 ハウスメイトの佐藤さんは、ご存じでしたか。

佐藤優里 ご一緒すると聞いてから調べて知りました。

鮫洲のオーナーも、多文化との共生を気にされています。

日本人以外の方にも住んでいただいて、地域になじめる形で鮫洲をつくっていけたらという思いもあるので、すごく勉強になりました。

笹井 グローバルでの今後の展望は。

佐藤貴信 グローバルは、正直まだ弱いところです。

IT企業は集まってくるけれど、グローバルの投資家とつながれているわけではない。海外に出ていきやすいカテゴリーも、私たちはまだつくれていません。

今は五反田バレーに集まって課題を解決していて、さあ次どうしよう、という状態です。

笹井 そこでXUとして、どんなお手伝いができそうですか。

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小田嶋 モンゴルは単体では大きな市場ではありませんが、中央アジアへの足がかりになる可能性があります。

まずモンゴルとの接点を生かして土台をつくり、そこから周辺国に展開していく。そうした取り組みを、XUと五反田バレーで一緒に進められたら面白いと思います。

鮫洲と五反田がつながると、何が起きるのか

笹井 ここで、2つの街の話をつなげてみたいと思います。

鮫洲には防災や地域コミュニティという課題があり、五反田には技術を持つ企業やスタートアップが集まっています。

例えば、鮫洲の課題を五反田の企業や学生と一緒に考え、街を実証実験の場として活用することもできるのではないでしょうか。

ハウスメイトの佐藤さんは、どんな可能性を感じていますか。

佐藤優里 今の鮫洲は、お店が少なく、地域全体のコミュニティづくりもまだ十分ではありません。

そこに学生や企業が加われば、街に活気が生まれると思います。

鮫洲の住民と学生、さらにモンゴルなど海外から来た人たちが交流できるような場もつくれるのではないでしょうか。

笹井 五反田バレーの佐藤さんはいかがでしょうか。

佐藤貴信 五反田バレーでは、コロナ禍に各社が持っているITサービスなどを商店街で活用してもらい、課題解決に取り組んできました。

こうした経験は鮫洲でも生かせると思います。

大きな課題の一つは、学生と地域住民など、世代を超えた交流が少ないことです。

五反田バレーユニバーシティも参画する地域イベント「ゴタンダデシタンダ!!」には、学研などの企業や大学生が参加しています。

街全体を使って、さまざまな実験的な活動に取り組んでいるんです。

ただ、これは街ぐるみの取り組みですから、簡単に「鮫洲でもできます」とは言えません。

これまで積み重ねてきた経験や知恵を、どうすれば鮫洲にも広げられるのか。その方法を一緒に考えていきたいですね。

小田嶋 オーナーには比較的高齢の方も多く、新しい取り組みを知らないために、なかなか踏み出せないこともあります。

そこで、鮫洲のオーナーに五反田バレーの活動を実際に見てもらうのはどうでしょうか。

イベントなどに参加してもらい、若い人たちも街の未来を真剣に考えていることを知ってもらう。まずは実際に見て、理解してもらうことが大切だと思います。

佐藤貴信 そうですね。実際に見てもらうのと、見てもらわないのとでは、実感がまったく違います。

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挑戦を支える文化と金融

笹井 スタートアップや学生のアイデアを街で生かしていくには、どんなことが大切でしょうか。

小田嶋 大事なのは文化づくりです。

スタートアップが成功している国には、「失敗は必要なものだ」という考え方があります。

一方、日本では失敗すると、責任追及に時間をかけてしまう。そうなると、挑戦すること自体をためらってしまいます。

もちろん、どんな失敗でも許されるわけではありません。ただ、「ここまでは許容範囲だから、挑戦していい」という文化をつくれれば、新しいチャレンジが生まれやすくなると思います。

そこに、強力な金融面でのバックアップもあれば……。

森本 そのバックアップは、まさに私たちの仕事です。

若い人たちが集まりやすい街を、ぜひつくっていただきたいですね。

街づくりのアイデアを学生たちと一緒に考えていくことも重要だと思います。若い人たちが集まり、街の新たな担い手になる。そういう流れが生まれるといいですね。

笹井 森本さんは、高輪ゲートウェイのビジネス共創拠点「LiSH」とも連携されていますよね。

森本 LiSHはJR東日本が運営するスタートアップ支援拠点で、私たちもコワーキングスペースに入り、さまざまなイベントを行っています。

ここで活動している若い人たちと鮫洲の住民を、どうつなげていくか。イベント会場として使うこともできます。

5年後、どんな街の景色をつくりたいか

笹井 最後に、XU大学 しながわキャンパスが5年後、どんな街の景色をつくっていたらうれしいですか。

佐藤優里 企業と地域の方、住民、オーナーが顔見知りになり、そこから新しいことが次々と生まれる街になっていたらいいですね。

大きな街ではできないような、小さなところから新しいことを始めて、それを広げていける場所にしたいです。

佐藤貴信 五反田で大切なのは、集まってくれた企業や人が街を離れないことです。

企業が成長して世界に挑戦するのは素晴らしいことですが、同時に五反田という街にも愛着を持ってほしい。

「この街を一緒に盛り上げたい」と思えるようなストーリーを共有できる。それが理想の姿だと思っています。

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森本 街の活気を生み出すのは、たくさんの小さな企業だと思うんです。

大きな資本が入って、どこに行っても同じチェーン店が並ぶのではなく、魅力的な個人商店があり、新しいことに挑戦する人がいる。

五反田にはスタートアップが集まり、鮫洲には人々の暮らしがある。挑戦して成功する人の姿も、普段の暮らしも見られる街になっていけばいいですね。

羽田空港にも近く、世界との接点も持てる。非常に可能性のある地域なので、私たちも街づくりを応援していきたいと思います。

小田嶋 今日はいろいろなアイデアが出ましたが、大事なのは、いたずらに規模を追求しないことだと思います。

渋谷は家賃が高くなり、ある程度成功した人しかいられない街になりつつあります。五反田は、新しいことに挑戦する人が集まる街であり続けてほしい。

もう一つ、地域活性化のプロジェクトで感じるのは、みんな「点」で勝とうとすることです。でも、点が持つ力は弱い。

自分たちが成長したいのであればこそ、周りと連携して「面」で勝つことが大切です。

鮫洲のオーナーに五反田の取り組みを見てもらう。LiSHが海外との入り口になる。それぞれの地域や拠点がつながり、品川全体が成長すれば、個々の街も発展していく。

XUとしては、そんな面づくり、場づくりをお手伝いできればと思います。

笹井 この作戦会議が、明るい未来につながることを期待しています。本日はありがとうございました。

Information

cv

公式YouTubeチャンネル:経済動画メディア「XU(クロス・ユー)- X innovation empowers U」https://www.youtube.com/@X-Weavers

運営会社:株式会社HI-NEXU https://www.hi-nexu.co.jp/company-profile/

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image by: XU

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