ヨガ教室を年商億越えの企業に成長させた、元女優社長・岡本香了のひたむきな想念

2015.06.06
by レモン
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【女社長の交友録】
弊誌メルマガ『まぐWoman』の連載企画でおなじみの、幅広い交友関係を持つアパレル会社社長・藤島彩子社長が、いまをときめく働く女性に直撃インタビュー!親しい間柄だからこそ引き出せる、美しきカリスマたちの素顔をお届けします☆

 

女優、タレント、レーサーなどの経験を経て
年商億越えの人気スイーツ会社社長に!

藤島社長(以下、藤)  共通の知人とみんなでお食事することは多いけど、香了社長とじっくりお仕事の話をするのは初めてですね(笑)。現在は大ヒット商品の「禅ドーナツ」「白金かりんとう」の販売のほか、飲食店も経営されているんでしたっけ?

岡本香了さん(以下、岡) そうですね。あとは歌舞伎座で「歌舞伎座どら焼き」や「Potteいもけんぴ」なども販売させてもらっています。

 現在のご活躍もそうですが、元女優さんでレーサーという肩書きも華々しいですよね。しかも世界三大耐久レースのひとつ「スパ・フランコルシャン24時間耐久レース」に8年連続出場したり、「パリ・ダカールラリー」に3年連続で出場したうちの2回完走してるじゃないですか。並大抵の努力じゃかなわないと思うんですけど、もともと運動がお好きだったんですか?

 理由はいろいろあるんですけど、心のバランスが取れる何かがしたかったんですよね。私が女優やタレントとして一番テレビに出ていた頃のレギュラー数は8本。でも、番組に出れば出るほど緊張感があったんです。「あれ、こないだまで共演していた○○先輩が出ていない!!」「もし自分もそうなったら…」って実はすごく不安だったんです。

 やはり売れていても厳しい世界なんですね。

 そう。だから心のバランスを取るために生け花や日本舞踊とか、いろんな習い事をしました。そんなとき、たまたまお友達に誘われて見に行ったレースですごく感動しちゃって!ご飯も食べないで見ていたら、TOYOTAの方に「そんなに興味があるなら、うちで乗らないか?」って声をかけていただいたんです。

 おお~!さすが売れっ子女優。

岡 もちろん最初は「ムリです」って断りましたよ。その頃はテレビのお仕事が忙しかったし、車だってオートマ限定でしたし。でも何かピンとくるものがあったんですよね。「やってみよう!」と決意してからはひたすら練習。番組の収録が終わるとコーチの車で大井ふ頭に行って、マニュアル車の運転を練習してました。その積み重ねを経てレーサーデビュー。レースに集中するため女優業を引退したんです。

 

最大の転機は24歳
がんの発症を機に人生観が変わる

241N1030_2 その練習を通じてレースの魅力にハマっていったんですか?

 レース自体も魅力的でしたけど、何よりも心をつかまれたのが“努力がちゃんと形になる”ということ。その“結果”が芸能界の“努力ではどうにもならない何か”という不安に対する大きな支えになって、精神的なバランスがすごく取れるようになりましたね。

 しかしそれで10年も続けられるってスゴイですよね。

 いえいえ。レースを続けられた理由は他にもあるんです。それは母との再会。といっても電話ですけどね。私、1歳の時に両親が離婚して、母と別れているんですよ。だけど24歳でがんを発症して入院した時、お父さんが初めてお母さんの電話番号を教えてくれて。それで「私はいま芸能界で頑張ってます。だから、“岡本香了”って名前を見たら私だと思ってね」と話すことができたんです。その出来事もレースを再開するきっかけになりました。やっぱり変わったことをやらないとお母さんに見てもらえないかな?と思ったんですよね。

藤 そんなことがあったんですね。

 でもお医者さんの言うことをきかなかったものだから、31歳のときに同じ病気が再発してしまって…。さすがにこれは「もうやめなさい」ということだなと感じました。幸いパリダカに出たときに、いろんな媒体さんからたくさん取材していただいたので、「さすがにお母さんも見てくれたかな?」と思うこともできて。やりきった感もあったので、レースはここで引退して、これからの自分の人生を考えることにしたんです。

 体はもう大丈夫なんですか?

 はい、病気は一応治ったので。ある意味24歳はレースでも私の人生でも大きな別れ道になりました。一般の20代って“死”についてなんてそう考えないじゃないですか。だけど悪化すれば死ぬかもしれない病気になったことによって、人生観がガラッと変わりましたよ。そこから時間を大切にするようになったり、自分の生き様って言うんですかね?どう足跡を残していくかということに対して深く考えるようになりました。

 

病床で思い描いたのは誰もが安心して
食べられる無添加スイーツを作るという目標

241N0983_2 そこから今のドーナツに結びつくんですか?

 いえいえ。うちの会社の原点ヨガ教室なんです。

 え、そうなんですか?

 スペインの整体師さんに勧められたのがきっかけでヨガを始めたら、ストレスをうまく発散できることに気がついたんです。だから私みたいにストレスを上手に発散できなくて、病気になってしまう女性がいるんじゃないかなと思って。それでインストラクターコースに足を踏み入れるわけですね。そして10年前にスタートさせたヨガ教室が進化して、現在の会社になったんです。

 ヨガからお菓子に結びついたきっかけもお聞きしていいですか?

 お菓子の販売を考えたのは、私ががんになったときにすっごくスイーツが食べたくなったから。こないだお医者様とお話してその理由がわかったんですけど、がん細胞って普通の細胞の6倍糖分を欲しがるらしいんです。

 えっ、そうなんですか!?

 だから異常に甘いものが食べたくなった時は、念のために病院でチェックした方がいいですよ。私もやたらと甘いものが食べたくなった時期があって。で、体調悪いなと思って病院に行ったらがんが再発してたの。

 そんなこともあるんですね(汗)。

 その病床で考えたのが、子供や病気の人でも安心して食べられるような無添加のスイーツ。そんなに甘くなくてもすごく安全なものがあったらいいなって。私が病気になった20年前は、添加物のことなんて誰も考えてなかったじゃないですか。だから外からはヨガ内側からは自分も食べたかった安全なスイーツで、多くの人を癒してあげたいというところから研究を重ねた結果、ドーナツになったんです。

 しかし、行動力がすごいですよね。思ったことを実行できるって、なかなかできることじゃないと思うんですよ。いいなと思ってもそれを形にして実際に多くの人を幸せにする事業をやってらっしゃる。

 でもそれは、私ががんという病気になったからそう考えるだけで。24歳で入院した時、同じ病室に20歳の患者さんがいたの。同じ病気でも私は0期っていう一番軽いところだったんだけど、彼女は末期で…。そのことにも衝撃を受けたし、治療もすごく苦しかったし。そういう状況になる人が1人でも少なくなるといいなと考えたんです。

 

1人でも多くの方を“人と自分を比べる”
ストレスから解放してあげたい

241N0979_2 それでも自分が大病のときに人のことをそこまで考えられることはすごいと思います。「ファンクショナルヨガ」という独自のスタイルを確立されたのも人のためですよね?

 生きていると誰かと比較される瞬間ってあるじゃないですか。そのストレスをオフにしてあげたいと思ったんですよ。私もずっと比較の中で生きてきた人間だから、人と比べられる辛さはすごくわかるので。

 ストレスが原因で病気になることもありますもんね。

 そうなんです。結局ヨガ教室に行ってもみんなが人と自分とを比較していて、自分とあまり対話をしていない。「こんなポーズじゃカッコ悪い」と人からどう思われるかを気にし過ぎてしまうから、リラックスできていないんです。だからコンプレックスを感じる人が出ないように、「極力難しくないポーズを重ねても効果が実感できる」という流れのプログラムを作ったんです。

 体が固い人でも安心してできそう!

 体が柔らかいかどうかは、ヨガにとってそんなに大事じゃないですからね。それよりもっと大事なものとして気づいたのが心の平穏すべてに感謝できるようになるから、気持ちも穏やかでいられるようになるんです。

 心の平穏を重視するようになると、お仕事での周りとの関係も変わってくるんじゃないですか?

 そうですね。あと基本はやっぱり相手の話を聞くこと。彩子社長も同じだと思いますけど、いかにして求める側の要望に120%で答えるか。そこは芸能のときと一緒ですよね。そのためにも心を穏やかにして、「相手が何を求めているか」を知ることがポイントになってくる。そうすると、その人に何を提案してどの商品をお勧めしたらいいのかが、わかってくるわけで。自分が売りたいものを一方的にアピールしても、全然求められていないものだったらダメなわけじゃないですか。

 確かに!ヨガもそうですけど、芸能をはじめ様々な経験が活きている気もします。

 それもあるんでしょうね。でもいろいろ経験して感じるのは、一番厳しいのは一般社会だということ。女優をやっていた当時は仕事も社長が選んで担当マネージャーが細かい部分を整理してくれて、必要最小限の状態で私の元に来る。でも、今は自分が社長だから問題やトラブルが起きたときも全部自分で戦わなきゃいけない。そのへんは芸能界よかったな~って思いますね(笑)。

 

夏場の品質保持やバターの高騰など、
予想出来る問題には先回りして対応

241N0970_2 芸能の時に感じていた、人と自分を比べるようなことはなくなりましたか?

 はい。いまはうちの商品がタレントで、私の立ち位置はマネージャー的な感じですから。自社の商品を育てて、それを売るためにどうするか。オリジナリティも必要ですけど、時代の感覚からズレないようにある程度はトレンドに沿った商品作りも意識するようにしています。

 流行のココナッツオイルも、いち早く取り入れていましたよね。普通、流行り物って一過性のブームで終わりがちだからなかなか動かないじゃないですか。なのにあっという間に商品にして販路に乗せてしまうという、その行動力もすごいなと。

 それには理由があって、ひとつはバターの値段が高騰したこと。うちのドーナツって、すごくいいバターを使ってるんです。値段が上がると原価が合わないし、バター自体が希少品になってしまったから万が一入荷出来なくなったら商品が作れないし。私って小心者だから、早め早めに動くんです。売る物がなくなったら、社員も販売員も路頭に迷うわけですから。どっちにしても夏場の禅ドーナツの販売を休むことにしたので、その間に売る商品も必要でしたしね。

 え、どうして休まれるんですか?

 防腐剤を入れたくないからです。最初に禅ドーナツを作り始めた頃と比べて、いまは5月から30℃越える勢いじゃないですか。防腐剤を入れれば持つけど、それだと病床で誓ったことと違うことをすることになっちゃうから、やめようと!それで去年、ココナッツオイルでいろいろな商品作りを試していたら、すっごくおいしいお菓子ができたので、本格的に商品として扱うことにしたんです。

 

状況が悪い時でも出会った人を大切にして
前向きなことを考えていればうまくいく

241N1002_2 会社を興してからの10年を振り返るといい時も悪い時もあって。人にだまされたりリーマン・ショックを受けたり、東日本震災でビルがダメになったり。猛暑も来たし。とにかく、ありとあらゆる天災と世の中の動きに引っかかってきたわけで。それでもこれまでやってくれたのはたくさんの人のおかげですね。

 やっぱり香了社長みたいに、損得抜きで人を大切にするって本当に大事。すごく共感します。私ね、人を切ることができないんですよ。その人と仲良くしたからって、いいことがあるとは別に全然思ってないの。でも“ここぞ”って時に、知り合いの誰かを通じて必ずいいことがあるの。困った時でも不思議な縁が働いてなんとかなっちゃうし。

 ありますね。ココナッツオイルの業者さんを探しているときも、たまたま合ったお友達の後輩がココナッツオイル屋さんだったり。現在、歌舞伎座に商品を置かせてもらえていることも、過去に仕事でお世話になった方の縁と奇跡的なタイミングのおかげですし。

 それでも歌舞伎座はハンパない(笑)!やっぱり香了社長って(運を)持ってますよ。

 本当に大事なのは人ですからね。あとは調子が悪い時でもいいことを考えておく。人間っておもしろいもので、悪いことや嫌なことは何回も考えるのに、いいことってそうそう思い返さないじゃないですか。だからそれを逆にすればいいのかな、と。悪いことは反省し、嫌だったことは極力忘れるようにして、その分「こんないいことがあった」とか前向きに「こうなりたいな」と思うようにすると何かしらいいことが起きる(笑)。

 引き寄せの法則ですね(笑)。

 やっぱり、社長になる方ってそういう“想念”がすごく強いと思うんです。「自分がこうなりたい」というイメージがはっきりしていることも、引き寄せに繋がっているような気がしてます。

 同感です。あと絶対人のせいにしない。何か起きた時もすべて自分が決めて自分が招いたことだから。何でも人のせいにする人って、悪いことばかり引き寄せる気がします。常に言いわけを用意してるから、自分でプラスの方向に行けないというか。

 たまには相手が悪いこともあるけど、私だったら「そういう人と仕事をしようと思ってしまった自分がいけないんだ」って。そう考えると腹が決まるんです。

 

これからは大人ならではの美しさと
女としての幸せも追求して行きたい

241N1032_2 もうだいぶ成功されてると思いますが、いまの目標は何ですか?

 目指してるのはやっぱり彩子社長みたいに素敵な旦那さまと結婚して、女としての充実をきちんとさせること。あくまで私の考えですけど、男の人って9割方仕事がうまくいっていれば結構ハッピーだけど、女って五分五分じゃないですか。いくら仕事が順調でも、プライベートが充実してないと空しいわけで。それが男と女の大きな違いだと思うんです。この10年間はあまりにも仕事に走り過ぎて、そういうことをおざなりにしてきてしまったので、改めて自分の時間も考えたいなと。あとは若い時とはまた違った、大人ならではの積み重ねた美しさをいい意味で追求していけたらいいなって。

 すでに十分お美しいのに!! 絶対モテるから、その目標は実現すると思います!

 ありがとうございます!がんばりまーす(笑)。

 

<今回のゲスト>
241N1047_2岡本香了(かおり)さん
株式会社シーズ代表取締役。18歳で芸能界デビュー。女優やタレントとして、テレビ舞台など様々な分野で活躍し、22歳のときにレース界へ進出。世界規模で活躍するも、24歳と31歳のときにがんを患い闘病。その後、単身アメリカへヨガ留学し、41歳で米公認のヨガインストラクターライセンスを取得。翌年、日本へ帰国し現在の会社の原点であるヨガ教室を開講。のちに、油を使わず焼き上げる「禅ドーナツ」の販売を開始。その人気は通販サイトのドーナツランキングで44週連続第1位を記録するほど。「白金かりんとう」や歌舞伎座とのコラボレーション商品を含め、様々な体にやさしい商品を展開している。
<聞き手>
fujisima_藤島彩子さん
トムズアンドコレクティブ株式会社代表取締役。美大卒業後、アパレルメーカーにて、MD(マーチャンダイザー)・営業職を経験し、今に至る。現在、トムズアンドコレクティブ株式会社代表取締役。人脈の広さを活かし多岐に渡り、コラボレーションやODMを手掛け、ファッション等の仕事に従事しながら、 ショップチャンネルに出演し自社ブランド『アンコキーヌ』の販売にも注力。ブログ『藤島彩子のブログ』には多くのアクセスと読者がついており人気を博している。

 

(撮影:中津昌彦)

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