海外旅行の醍醐味と言えば、グルメ、ショッピング、街歩きなど、旅行期間中に何を優先させるかは人それぞれだと思います。その土地で生まれたアートや歴史ある建造物を見て回りたいという方も多いのではないでしょうか。そんなアート好き、建造物好きの人は必見の「現代アートによって生まれ変わった古代の建造物」がイタリアに出現しました。芸術的な才能によってイタリアの古い教会の「再建」を手がけたのは、若干28歳の新進気鋭のアーティストです。
現存する貴重な建造物「サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂」
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂は、イタリア・ローマにあるカトリック教会の聖堂で、その完成は1177年まで遡ります。
6世紀から存在していたと思われる地下室には、当時イタリア南部の都市マンフレドニアの守護聖人であったLaurence of Sipontoの遺品が眠っています。
また、大聖堂の名前には「世界の聖堂の中でも特に重要な教会、まさに母なる教会である」という意味と、「カトリック信仰において古代より尊重されてきた聖母マリアへの崇敬を表す聖堂である」という2つの意味があるそうです。
そんな歴史ある教会ですが、13世紀に起きた地震によって、前面の構造はすでに破壊されており、壁に飾られていた聖母マリアの肖像も、残念ながらその時に焼失しました。
しかし今年の春、ミラノを拠点に活動するアーティスト、Edoardo Tresoldi氏の手によって、見事にその全貌を甦らせたのです。
彼が「金網」を駆使してイタリアのMinistry of Cultural Heritage and Activities, Archaeology Superintendence of Puglia and Cobar SpAとコラボレートして完成させたこの超大作は、何か月にもわたる綿密なリサーチの結果と、さらに何か月にもわたる建築の産物なのです。
image by:Edoardo Tresoldi / Facebook
これがTresoldiによって再建されたサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂。
何とも言えない神秘的な魅力。
Tresoldi氏とそのクルーたちは、まずパズルのように教会のパーツを別々に造り、最終的にそれを結合させるという作業を行いました。
完成した作品の重さは7トンにもおよび、4,500メートルもの電気で溶接した亜鉛の鉄網を使用した本作にかかった費用は、400万ドル(日本円で約4億円)というから驚きです。
何とも莫大な投資のように思えますが、この作品は「かつての教会の姿を思い出させる産物」として、長きにわたり展示されるそうです。
「空間をデザインするのが好きだ」と語るTresoldiの驚くべき才能
今回この作品で一躍時の人となったTresoldiですが、これまでにも多くの素晴らしい作品を手がけています。
「この『建造物』のなかでは、風を感じ、屋外の音を聞く。
つまり、建物の内部にいても、『外』が存在しないんだ」と語る彼が、これまで手がけてきた作品をご紹介します。
1.「Control」
image by: Edoardo Tresoldi / Behance
image by: Edoardo Tresoldi / Behance
「これらの籠は、『縛られた思考』のメタファーと言える。鳥たちは我々の実体の損失を表現し、それでいて彼らは籠の外では完全なる自由を手に入れる。
自然の摂理と破壊を表現した」そうです。
2.「LIFT」
image by: Edoardo Tresoldi / Behance
『浮遊する教会』と題された本作は、「the 2015 Secret Garden Party in the U.K.」で披露されました。
image by: Edoardo Tresoldi / Behance
image by: Edoardo Tresoldi / Behance
3.「Archway」
image by: Edoardo Tresoldi / Behance
image by: Edoardo Tresoldi / Behance
この「ワイヤーアート」は、最近修復されたLeonardo da Vinci at Casa degli Atellani で行われたMilan Fashion Weekのために作成されました。