【2016年】アメリカ大統領選挙を睨む民主・共和両党の最新分析

二人の溝
 

対立の図式は従来通りでも、政策次第では若者の民主党離れが進む可能性アリ

 

Question

shitumon2016年問題に関連しますが、民主・共和両党の伝統的支持基盤に何か面白い変化が見られるでしょうか?
特に、民主に対する企業(業界)と富裕層の態度、共和に対する若いリバタリアンの態度に興味があります。

 

 

冷泉彰彦の回答

一つは、景気が良いのでその景気を壊して欲しくない、従って個性的な人物を選んでギャンブルをするのではなく、中道的な実務家を選びたいというようなムードが、与野党に濃厚なことが指摘できます。

共和党でいち早くジェブ・ブッシュが名乗りを上げ、前回落選しているミット・ロムニーも再挑戦の姿勢を見せているのは、こうした雰囲気に乗じてのことだと思います。民主党のヒラリーにも、この雰囲気は有利に働くでしょう。

その一方で、オバマは富裕層課税による再分配を強めるようなことを言い始めています。これは、従来の「景気回復最優先」という立ち位置からは、かなり左に寄せることを意味するわけですが、共和党多数の議会が相手ですから成立する可能性は薄いわけです。

オバマとしては、任期の終盤に差し掛かり、景気も悪くないことから、ポジションを左にシフトするつもりかもしれませんが、そこであんまり議会と派手なドンパチに至ると、イメージダウンに陥る可能性もあるように思います。

というのはご指摘のように、若い有権者の間ではリバタリアン(政府の極小化)的な思想への賛同が依然として根強いからです。仮にオバマが「富裕層課税強化」などといった「大きな政府論」に傾斜して行き、ヒラリーもそれに乗ってくるようですと、若者の民主党離れは進むかもしれません。

一方で共和党が、ジェブやロムニーのような「無難な」候補でまとまって行くような展開になると、リバタリアンとしては面白くないことになります。その場合ですが、リバタリアン直系の大統領候補としては、ランド・ポールという人がいるわけですが、彼の存在、そしてウィルコンシンで州政府リストラの「実績」を掲げているウォーカー知事といった、相当に「右の」候補に注目が集まるかもしれません。

いずれにしても、左右対立のクラシックな図式にはそれほど変化はなく、いかにもアメリカらしい対立軸が浮かび上がる中で、2016年への展望が見えてくるのではないか、私はそのように見ています。

 

『冷泉彰彦のプリンストン通信』

著者/冷泉彰彦

reisen現在、プリンストン日本語学校高等部主任。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を隔週寄稿。「Newsweek日本版公式ブログ」寄稿中。NHK-BS『cool japan』に「ご意見番」として出演中。
アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届け!
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