マネーボイス メニュー

あと3年で終わる「ジュニアNISA」は使わにゃ損。非課税枠240万円の最新活用術=川畑明美

年間80万円まで非課税で投資できるジュニアNISAですが、子どもが18歳になるまで現金を引き出せないことからあまり人気がなく、2023年の終了が決まっています。しかし、今からでもこの制度をうまく使えば、240万円の非課税枠で大きく得することができます。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

【関連】この春、お得な決済手段はカード二刀流+スマホ決済!プロが選んだベストな組み合わせ4種。注目の最新カードとポイント還元率を上げる裏技も=岩田昭男

プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

使いこなせば節税効果の高い「ジュニアNISA」

「ジュニアNISAで大学費用を運用したい」という質問を受けることがあります。ジュニアNISAは、制度が少し複雑ですが、理解して利用したら、とても節税効果が高い非課税制度です。

ただしジュニアNISAは、2023年末で終了が決定済みです。ですが、今からでも賢く使う方法は、あります。ここを解説していきましょう。

NISAには、一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAがあるのですが、ジュニアNISAは利用者が少ないことから2023年末で終了することが決定しています。

ジュニアNISA口座とは、証券会社に口座を開設するとき、未成年の子どもの名義で開設できる、投資専用の口座です。未成年にも利用の範囲を広げた仕組みでした。

ジュニアNISAができた当時は、一部の証券会社を除いて「未成年口座」が開ける証券会社は少なかったのです。

我が家の子どもたちは、赤ちゃんの頃から未成年口座を作っていましたが、当時は、ネット系の証券会社だと、未成年口座を作れるのはセゾン投資とマネックス証券くらいでした。

ジュニアNISA制度ができて、多くの証券会社で未成年でも口座が開けるようになりました。

大学進学の学費準備にも使えるようになった

ジュニアNISAの制度を確認しておきましょう。ジュニアNISAは年金80万円までの買付が上限となります。株式や投資信託が対象となります。

非課税期間は、5年目の年末までです。ここまでは、一般NISAと同じです。大きく違うのは、売却しても代金を現金で受け取ることはできず、課税ジュニアNISA口座に入金され受け取りが可能になるのは、子どもが18歳になってからとなります。正確には、3月末時点で18歳になる年度末までです。

標準的なケースでは、高校卒業年の1月以降になら、解約できることになります。基本的に大学進学の学費準備の使途が想定されていて、引き出しに強い制限がある仕組みでした。

ところが、2023年で終了が決まってから、2024年以降は、18歳にならなくても現金として引き出せるようになるのです。

ジュニアNISAが普及しなかったのは、高校3年生の12月末まで売却しても現金を引き出すことができない点にありました。例えば、大学受験のための予備校に通う資金には、できないのです。

ですが、2023年で終了後、翌年の24年からは年齢制限なく現金を引き出すことができるようになります。

この条件が変わってからの活用方法を考えてみましょう。

Next: 年間80万円の非課税枠は大きい。親はどうやって活用する?



年間80万円の非課税枠は大きい

まずジュニアNISAの非課税枠に注目してみてください。

ジュニアNISAは、その口座で投資運用して得た利益に、税金がかからない「非課税口座」です。例えば、課税口座で資金運用して、100万円が110万円になったとします。

その場合、投資で得た利益には、20.315%の税金がかかるのです。

10万円×0.2315=2万3,150円です。

手元に残るのは、元本の100万円と、税金を引かれた後の7万6,850円、つまり107万6,850円です。

注目して欲しいのはジュニアNISAの年間80万円の非課税枠です。一般NISAほどではありませんが、つみたてNISAよりも非課税枠が大きいのです。

2021年から3年間で最大で240万円の元本が投資可能です。これだけの非課税枠を使わないのももったいないですね。

例えば、預貯金で利率が良いところの定期0.1%とすると、240万円 × 0.1% × 3年 = 7,200円の利息が付きます。この利息に20.315%の税金がかかりますので、税金を引くと5,738円になってしまいます。

投資のリスクも考えなければいけませんが、非課税の効果は思っている以上に高いです。まだまだ、投資余力があって資産形成に取り組みたい場合は、有効な選択肢です。

基本的に親が代理で投資する

ジュニアNISA内の投資は、基本的に親が代理ですることが認められています。

一般的には、未成年口座をまず作り、あわせてジュニアNISA口座を作ります。未成年口座は、親が代理で売買することを想定しているので、そのままジュニアNISA口座でも親が注文を出せることになるのです。

証券会社にもよりますが、入金口座も基本的に子ども名義の銀行口座から入金します。

教育資金として使えないことも?

家庭で使える非課税枠を拡大できるジュニアNISA制度ですが、もちろん注意点もあります。

一部のメディアでは、「教育資金の準備にジュニアNISAが向いている」と、書かれていますが、学資保険のように考えてしまってはいけません。運用できるのは、投資信託と株、上場している投資信託のETFです。使いたい時期にマイナスになっている可能性も考えられるということです。

18歳まで引き出せないことから「大学資金に」と考えるのかもしれませんが、今からはじめる場合は、子どもの年齢が肝になります。

まだ未就学児の子どもでしたら、2023年以降は、新しく買付できませんが20歳になるまでは「継続管理勘定」という非課税のまま保有ができる口座で運用が続けられます。

選ぶ商品を間違えなければ、10年以上の運用期間があれば十分に増えていますので、大学資金にもできるでしょう。

Next: 将来、資産がマイナスになることも!大学費用に使う場合の注意点



必ず預貯金も準備する

ですが、子どもが中学生くらいの場合はジュニアNISAだけで、大学費用にするには無理があります。使う時にマイナスになる可能性もあるからです。

必ず預貯金も準備しましょう。

また、親が代理で運用しますが親の口座の利益と、ジュニアNISAの損を損益通算することは、できません。NISA制度と同じで、子どもの課税口座との損益通算もできません。

ただし2024年以降は、18歳まで待たなくても現金で引き出せるようになるので、子どもの年齢によっては、中学受験時に引き出すこともできますね。

もうひとつの注意点は、2023年で20歳になっている人と20歳になっていない人では、運用方法が違います。

例えば、我が家の長女は、2022年で20歳になるので、2022年からは、大人と同じ一般NISAが自動的に開設されます。投資信託の積立を続けていれば一般NISAで引き続き積立できるのです。

ですが、次女は16歳ですから2024年から25年までは「継続管理勘定」に移されます。継続管理勘定では、新規の投資はできませんが売却は可能です。売却した場合は、未成年課税口座に売却金が移されます。

ジュニアNISAは生前贈与に使える

ジュニアNISAのもう1つの節税方法ですが、生前贈与に使えるということです。

なぜ、生前贈与が有効なのか?それは、相続税と贈与税の税率の差にあるのです。相続税よりも贈与税の方が税率が高いというのは、皆さんご存じだと思います。ですが、それは一度に多額の財産を贈与した場合です。

何年かに小分けして贈与していけば、贈与税の税率は相続税率よりも小さくなります。さらに生前贈与は、親から子に贈与するよりも「祖父母から孫」へした方がより有効な対策となります。

通常、親から子に3年以内にした贈与については、子どもは相続人となることから相続財産に加算されてしまいます。

相続税を軽減する効果がなくなってしまうのです。

ところが、祖父母から孫への贈与は孫は、相続人ではなりませんので、相続開始前の3年以内の贈与でも相続財産になりません。

ジュニアNISA口座への入金は親、もしくは祖父母からします。つまりジュニアNISAを使って、孫への生前贈与が可能なのです。

その場合、注意点があります。

Next: ジュニアNISAを生前贈与に使う場合の注意点



ジュニアNISAを生前贈与に使う場合の注意点

ジュニアNISAを開設するには、祖父母も同じ金融機関で口座を開設する必要があります。運用管理者は、口座開設者本人(子ども)の2親等以内の親族とされています。

「親の私たちがジュニアNISA口座を子ども名義で作るのと同時に、祖父母にも孫名義でジュニアNISAを作ってもらえば、非課税枠がダブルで持てて、もっとお得なんじゃない?」なんて考えても、それはできません。

ジュニアNISAは、子ども1人1口座なんです。なので、相続対策として考えるのでしたら、祖父母に口座を作ってもらうしかありません。

ジュニアNISAも1年毎に金融機関を変更することはできますが、すでに開設したジュニアNISA口座の廃止手続きが必要になります。

2023年に制度が終了してしまいますが、今すぐ行動に移せば節税になります。ぜひ、実行してくださいね。

【関連】「もう風俗で働くしかないのか」元AV女優の貧困シングルマザーに私が伝えたこと=午堂登紀雄

【関連】血税73億円垂れ流し「五輪観客用アプリ」なぜ開催中止を想定せず?菅内閣は国民を完全に舐めている=原彰宏

【関連】「路上で遊ぶ親子」を許せない日本人が増えている。道路族マップに賛否、もし自分が晒されたらどうする?=午堂登紀雄

image by:milatas / Shutterstock.com

教育貧困にならないために』(2021年4月25日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

教育貧困にならないために

[無料 ほぼ日刊]
人生で二番目に大きな買い物は、子どもの教育費。教育費を意識して貯蓄していますか?「実はコレだけ必要です」から、「学資保険でまかなえるのか?」「目減りしない資産管理」「我慢しない節約」「ゼロから稼ぐ方法」までを調べて実践したことを紹介しています。教育ローンに頼らず、老後資金も確保できる教育費の貯め方を伝授します。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。