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ブルームバーグ報道(22日)を踏まえた日銀緩和期待相場のポイント=のりた

日銀の追加緩和に関するリーク(?)22日のブルームバーグ報道後に円安・株高の動きが出てビックリ。今週(4/27~28)に行われる日銀会合を想定して投資戦略を考えます。(『毎月分配投信の本当のこと のりたマガジン』)

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日銀、金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討?一部報道

日経平均、原油はしっかり

ドーハ会合の原油増産凍結見送りで、週明けから円高、株安となりました。しかし、翌日には原油が持ち直し、円安、株高とあっさり戻してその後も週末まで上昇しています。

【関連】奇跡は起こるか?来週の日経平均レンジは1万8,380円~1万6,900円=橋本明男

産油国による情勢の悪化が懸念されるなか、むしろ原油は強い動きを示し、それにともなう円安の動きもあってか、日経平均は思った以上にしっかりとした上昇が続いた印象です。

WTI原油先物 日足(SBI証券提供)


米ドル/円 日足(SBI証券提供)


日経平均株価 日足(SBI証券提供)

これまでの動きを考えると、ドル円、日経平均ともに違和感の方が大きかったですが、相場を下支えした原油が想定以上の上昇を見せたことを考えれば、意外と単純な話だとも言えます。先行きが怪しい産油国の情勢を考えると、あっさり情勢が悪くなってしまうこともあるので、油断しないようにしないといけない状況だなと思えてきます。

注目のブルームバーグ報道

そしてさらに週末には、日銀による追加緩和期待(?)で、円安、株高の動きが出ました。その追加緩和期待を押し上げたのがこちらの報道です。

日本銀行は金融機関が資金を預ける当座預金の一部にマイナス金利を適用しているが、金融機関に対する貸し出しに対しても、マイナス金利の適用を検討する案が浮上している。

出典:【関連】日銀:金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討-関係者 – Bloomberg(2016年4月22日)

預けるお金にマイナス金利が適用されたことで銀行収益が押し下げられますが、今度は貸し出しにマイナス金利を適用することで、収益を押し下げた分を相殺できるというわけです。

マイナス金利の弱点を克服する政策として効果が見込めるので、相場が強く反応したのがよく分かる内容だと思います。

Next: 業種別値上がり率ランキングに伺える日銀への期待感



業種別値上がり率ランキングに伺える日銀への期待感

週末(4/22)の業種別ランキングを見てみると、その政策に対する期待度が伺えます。

4/22 業種別値上がり率ランキング

1 銀行業 4.80%
2 証券商品先物 3.36%
3 海運業 2.97%
4 不動産業 2.64%
5 鉄鋼 2.03%
6 保険業 1.98%
7 鉱業 1.70%
8 その他金融業 1.63%
9 倉庫運輸関連 1.35%
10 輸送用機器 1.34%

銀行株がダントツに上げていて、ハッキリと政策に対する期待の強さが表れています。その他、海運業保険業なども上昇しているのが分かります。

ありがたいことに不動産業も上昇していますが、マイナス金利の拡大やJ-REITの枠拡大などが思惑として出ているのかもしれません。

週末のドル円は、111.8円まで円安が進んでいます。先週末とくらべて2円以上も円安です。原油動向を踏まえてもさらなる円高が想定出来ていただけに、とても驚きです。

日経平均は、週末の終値で約17572円。ここ1ヶ月以上、17000円台を上回れない状況が続いていたことを考えると、とても大きな変化と言えます。

期待が失望に変わる恐れも

ただし原油にしても追加緩和にしても、あくまでも市場の思惑で勝手に動いているだけで、今後もそうなるかどうかは別の話です。

差し当たり今週(4/27~28)に控えている日銀会合で、期待した通りの追加緩和が実施されなければ、前週、上昇した分は全て帳消しになってしまうでしょう。

いや、あるはずもなかった期待が失望に変わるとなると、悪い影響でしかありません。

Next: 日銀会合の結果次第で18000円回復も17000円割れもあり得る



日銀会合の結果次第で18000円回復も17000円割れもあり得る

そもそも、ブルームバーグの記事も関係者の話として報道していますが、事前に情報が漏れたとしたらおかしな話です。その内容から信頼性の高さを市場は感じ取ったのかもしれませんが、日銀は何もまだ発表していない段階で信用しすぎるのはいかがなものかと思います。

先走った報道で強く反応していますから、ここは失望売りもしっかり想定しておきたいところです。

今後の展開ですが、追加緩和の内容次第では18000円台の回復も見込めるかもしれませんが、失望売りで再び17000円割れもあると思います。

追加緩和による円安効果は限定的か

さらに注意が必要なのは、追加緩和で円安の下支えが本当にできるのかどうかという点です。

金融機関への貸し出しにマイナス金利を適用することで銀行株を押し上げたり、ETFの枠を増額することで日本株の下支えはある程度見込めるのかもしれません。

政策オプションとしては、マイナス金利の拡大がありますが、前回の反応を見て分かる通り、円安の下支え効果は低いと思います。預金分に加えて貸し出し分にマイナス金利を適用することの相互作用はどうなるかはわかりません。

唯一、円安の下支え効果に期待できそうなのは量的緩和の拡大ですが、最終手段のようなものなので手は出しにくいと思います。下手なタイミングで実施した場合、効果がでなくてお手上げになってしまったら最悪ですから難しいです。

とりあえず日銀会合の結果次第ですが、期待通りの追加緩和が実施されることはもちろん、日銀が何かサプライズを打ち出せるかどうかは為替動向を見ていく上で重要なポイントです。

期待するだけの会合なら良いのですが、失望売りまで想定しなければいけないなんて、ブルームバーグは嫌な相場を作ってくれたものです。

追加緩和内容の予想に関する報道がありましたので掲載しておきます。

日本銀行が来週開く金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの見方が、エコノミスト調査で6割近くに達した。手段としては、金利・量・質の3次元のうち質の拡大を見込む向きが多く、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを10兆円追加するとの見方もある。

出典:【関連】6割近くが追加緩和予想、ETF10兆円追加との見方も-日銀サーベイ – Bloomberg(2016年4月22日)

ここ最近、ETFやJ-REITの買い付け方に積極的な変化を感じていましたので、ありえるかもしれませんね。


毎月分配投信の本当のこと のりたマガジン』(2016年4月24日号)ではこれ以外にも、原油増産凍結が見送られたドーハ会合とコモディティ相場の見通し、日米株価、為替相場の分析などを行っています。初月無料の定期購読で、すべてのコンテンツをすぐにご覧いただけますので、ぜひこの機会にどうぞ。

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毎月分配投信の本当のこと のりたマガジン』(2016年4月24日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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