マネーボイス メニュー

「1円玉」がコイン市場で急騰中。なぜ中国人が爆買い?狙われるアジアのアンティークコイン=田中徹郎

日本の1円玉が急騰しています。1円玉といっても明治維新直後に発行されたものです。これまではコインマニアの間で流通されるだけのものでしたが、今年に入って突然、急騰を始めました。その裏には何があるのでしょうか?(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

【関連】予告されていたビットコイン暴落とその後の倍返し。「クジラ」は年内10万ドルを目指すか?=高島康司

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

日本の古銭「1円玉」が急騰中

ここ数ヶ月で1円玉がずいぶん値上がりしました。

1円玉といっても、今の貧弱なアルミ片ではなく、私たちの先達が明治維新直後に発行した1円銀貨です。

日本がこのような素晴らしいデザインの、なおかつ大型で立派な銀貨をかつて発行したことを、ほとんどの日本人は知らないのではないでしょうか。

重さは約27グラム、直径は38ミリ以上もあり、銀の純度も90%です。

オモテ面は躍動する龍が、ドラゴンボールを鷲掴みしている素晴らしいデザインです、ほぼ同時代に発行された清朝の銀幣(銀貨)も素晴らしいですが、日本の1円玉も決して負けていません。

この1円玉は、当時の庶民が普段使いしていたものではなく、海外との貿易決済用に発行されたものです。なので、発行当初からこのコインは世界性を持っていたといえるでしょう。

今回はこの1円玉について、少し掘り下げて考えてみたいと思います。

日本のコインマニアだけに引き継がれてきた1円玉

日本の1円玉は、前述の理由から、発行当初からアジア広域で使われていました。

しかし、現在はそのような過去の栄光はすっかり忘れ去られ、近年は日本の趣味収集家によって、ほそぼそと引き継がれてきたにすぎません。

最近でこそ、コイン収集(というかコイン投資)が日本でも一般化しつつありますが、それでも日本人の収集家の興味はヨーロッパに注がれており、あいかわらずこの1円玉は一部のマニアのみの世界でした。

コインの相場にもそれがよく表れています。

たとえば、イギリスの5ギニーやモダンコイン、オーストリアの「雲上の女神」などは、近年驚くほどの高値が付くようになりました。

それがこの1円玉に関しては、あたかも十年一日のごとく……ほんの一部の希少年号を除き、ほとんど相場らしい相場はありませんでした。

そんな単調な毎日に変化が生じたのは、今年に入ってからです。

僕自身も、今年4月に開かれた国内オークションの結果には驚きました。細かくここで触れることはいたしませんが、状態の良いもの、レアな年号中心に、相場は昨年末の少なくとも2倍ほどにはなっている印象です。

Next: 1円玉の相場がこの1年で約2倍に!なぜ急騰?



「中国人の買い」で1円玉が急騰

さて、ここからが今回の本題です。なぜ、これほど急に1円玉は値上がりしたのでしょう?

結論から申し上げますと、「中国人の買い」だと僕は思います。

このメルマガをお読みの方はご存じかもしれませんが、ここ20年ほどで中国コインはずいぶんと値を上げてきました。

この間の中国経済の拡大や、世界的に進む紙幣の大量印刷を考えますと、昨今の中国コイン相場の上昇は驚くに値しません。

ただし足元の中国コインの相場水準を考えた場合、中国人の中にも高所恐怖的な心理が生まれているように思います。

一方で彼らの現物投資意欲は止まるところを知りません。

私たち日本人も自国通貨に対して万全の信頼を持っているとは言い難いですが、おそらく彼らの人民元に対する信頼感の低下は、それを上回るスピードで進んでいるのではないでしょうか。

特に富裕層ほどその懸念は大きく、コインはそんなマネーの有力な避難先になっているようです。

中国コインは欲しいけれど、すでに相場は割高圏にあるんじゃあないだろうか……そんな期待と不安をもちながらコインの相場をよくみると、近隣アジアのコインは随分と割安感があることに気づいた……。

おそらくこんなところでしょう。

アジアのアンティークコインは有力な投資対象

アジアのコイン全般に投資したいが、なかでも市場規模が大きく銘柄も豊富な日本のコインは、その有力な対象になるはずです。

今年に入って起きた1円玉相場の急騰は、このようにして起きているのではないでしょうか。

1円玉だけではありません、日本には立派な明治金貨もありますし、目を他のアジアに転じれば、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、インドネシア、モンゴルなど、銘柄数や市場規模は小さいものの中国マネーの受け皿はあります。

日本人は「イギリスのモダンコイン」や「雲の上の女神さま」がお好きなようですが、灯台下暗し。アジアには日本をはじめ、割安に放置されたコインがたくさんあるのですよ。

【関連】ビットコイン急落で韓国の若者らが借金地獄に。無謀な投機の裏に損失回避バイアス=栫井駿介

【関連】金相場は再び上昇、2000ドル回復は目前か。今から買いたい投資家に有効な戦略は?=江守哲

【関連】副業の勝ち組は「節税」で儲ける。サラリーマンの特権をフル活用する3つの方法=俣野成敏

image by:Old_Jhuang / Shutterstock.com

一緒に歩もう!小富豪への道』(2021年7月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

一緒に歩もう!小富豪への道

[無料 毎週火曜日+号外あり]
富裕層むけ、富裕層入りを目指す方むけの究極の資産防衛メルマガ!一国だけに資産を集めておくのは危険な時代がやってきました。海外ヘッジファンド、貴金属、不動産からアンティーク・コインまで、金融不安に負けない世界分散ポートフォリオを、経験豊富なファイナンシャル・プランナーが誠意をもってご案内します。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。