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「コロナ以前の生活に戻りたい」と嘆く人が老後に苦労する理由。年金暮らしを快適にする3つのポイント=牧野寿和

コロナ禍で大きく社会の情勢が変わっている中で、老後を快適に過ごすための家計のポイントを3つご紹介します。どんな時代でも、先を見ることが重要です。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

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プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

年金生活者になったら老後

今回は老後を快適に過ごすための家計のポイントを、フィナンシャルプランナーの立場から3つご紹介します。

まず、ここでの「老後」とは、主な家計の収入が公的年金となってからとしましょう。では、3つのポイントを順に見ていきます。

ポイント1:世の中は常に変化することを受け入れる

「コロナ禍以前の生活に早く戻りたい」という声を聞くことがあります。

確かに、感染しないように絶えず注意をして行動することは、心身ともに疲弊します。「早く元の生活に戻りたい」と、誰もが思っていることでしょう。

しかし、家計の運営に関しては、年中マスクのストックを購入しておく、といったコロナ禍対策費用は別として、家計の支出と収入には、大きな変化はなかったと思うのです。

ただ、家庭によっては、毎年行っていた旅行に行けなくなったりと、支出額が減った家庭もあるでしょう。反対に、新しい趣味を見つけて、その費用が必要になった家庭もあるでしょう。

コロナ禍がきっかけでの変化ではありますが、このような、家計収支の変化は、コロナ禍がなくても、また今後収束後にも起こりうる、対応すべき通常の変化だと思うのです。

これまでの生活を思い出してください。私たちの生活は、常に変化しています。スマホが普及してくれば、スマホの機能に即した生活が求められます。

もっと昔を思い起こせば、かつて銀行のATMが普及して、

・定期預金を開設する
・自分の口座に入出金をする
・振込みをする

といった、銀行の窓口業務が、ATMで操作できるようになりました。むしろATMですることが、当たり前の世の中になりました。

コロナ禍が収束したあとに、コロナ禍でどんなことが起こっていたのか、検証することは必要です。

大局的に考えると、世の中の進化の過程だと考えて、もはや元に戻るとは考えない方が良いでしょう。根本的には、生涯に渡り、世の中の変化を受け入れて、その生活に慣れていくことです。

ポイント2:家計収支を把握する

ただ、世の中は絶えず変化していくのですが、年金の受給額は、微動にしか変化しません。家計の収入はほとんど変わらないのです。

しかし、コロナ禍が収まってくると、世の中の活動が再開されます。ただ、景気の回復は、コロナ禍以前からの日本経済の課題でした。

従って、通説ではありますが、現在停滞気味の産業を復活させることも含め、経済活動を活発にするために、景気をよくすることは近々の課題でしょう。

景気をよくする方法は様々ありますが、私たち消費者にとっては、給与や賃金が上がること、そして、物価が上がることです。

ここのところすでに、一部の食品の値段が上がることが報道されています。しかし、報道されている価格を、ただ値が上がるから大変だ!と考えるのではなく、例えば、いつも買っている食料油が1ボトルにつき50円値上がりするとすれば、その食用油を年間何本購入しているのか計算してみましょう。

例えば、4本であれば、50円 × 4本 = 200円 の負担増です。その家庭にとって、年間200円の値上がりに対応するべきでしょうか?「不要」と結論付ける方も多くいるでしょう。

また、牛乳1パックが20円値上がりするなら、毎月6パック買っているのであれば、20円 × 6本 × 12カ月 = 1,440円 となり、年間で1,440円の負担増です。

年間1,000円以上の値上がりに耐えられないなら、そして今まで通りに牛乳を買いたいのであれば、定期的に購入していた牛乳以外の商品で1,440円分の購入を今後は止めるか、貯蓄からその分を取り崩すことにするか、対策が必要になります。

対策を打つにしても、打たないにしても、そのベースとなる指針は家計収支の動向です。老いても家計を把握することは、老後の快適な生活を送るために、生涯必要なことなのです。

Next: コロナ禍だからといって特別なことは何もない



ポイント3:自身の資産の処分

現在お持ちの資産のうち、株式・投資信託といった金融資産は容易に売買できます。

しかし、自宅といった「不動産資産」は簡単には売買はできません。

例えば、現在築古の持ち家に夫婦で住んでいて、子どもたちはすでにほかのところで、マイホームを持っている家庭で、ご自身や夫婦が亡くなったあと、誰もこの家に住む予定のないケース。

その場合は、以下などの対策をする必要があります。
・売却する
・孫が住む
・リフォームして賃貸にする

また持ち家以外にも資産を持っているなら、その資産を含めた分割方法を、親や子で考えておくことが必要です。

対策が決まったら、そのための費用を捻出することが必要になります。子どもが費用を負担することが無理な場合は、親がそのための費用を負担するのですが、ここをあいまいにしたまま親が亡くなると、後に来る固定資産税の納付などで、子ども家族により大きな負担がかかることになります。

また、複数の子どもがいると、資産の分割を含めて、子どもたちに本来する必要ない「争族」が始まりかねません。

親にとってはご自身の持ち物ですから、「立つ鳥跡を濁さず」のごとき、後始末はしっかりしておきましょう。

いつの時代でも先を見る

このように見てくると、老後を快適に過ごすためには必要なことは、コロナ禍だからといって特別なことはありません。感染予防などの対策が必要になるのは、収束までの一定の時期だけです。

常に世の中の変化に対応すること、また相続の準備をすることは、快適な老後の生活を送るために、今までの世の中と変わらないのです。

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image by:Syda Productions / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2021年7月28日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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