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「感染者1万人超え」が日本株急落の最終トリガーになる理由。海外反応で相場一変、日本売り要警戒=今市太郎

国内の1日あたりのコロナ感染者数は1万人を超えてきました。相場はこの状況をスルーし続けられるのでしょうか?海外メディアが騒ぎ出せば状況は一変、投機筋の絶好の売り材料となります。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年7月28日・29日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

ついに1万人を超えたコロナウイルス感染者

国内の新型コロナウイルス感染者は7月30日時点で過去最多となる1万744人を記録、2日連続の1万人超えとなりました。

東京だけでも3日連続で3,000人を超える始末で、当初のシミュレーション想定より明らかに加速度的に増加していることがわかります。

株式市場は多少この影響を受けて、リスクオフに下げたような印象もありますが、これがコロナ感染によるものかどうかは判断できず、ドル円も円高には振れたものの、それが明確にコロナ感染リスクによるものとは言えない状況が続いています。

菅首相はこの状況でも、人流は減少しているなどと科学的・数値的根拠の乏しいことを口にしては、五輪を途中でやめるつもりがまったくないことと明言しています。

小池都知事も、数字合計の問題ではないと言い、ワクチン接種が進んで高齢者の感染や重症化が減っているとして、できる限り状況が小さく見えるように尽力している様子です。

それよりも気になるのは、もはや国民はほとんど感染拡大前のように振る舞い始めていることと、五輪のメダル獲得への歓声のほうが凄まじく強くなっていること。これらが、コロナの問題をすっかりかき消しているようにもみえます。

そんな中で、政権は首都圏3県と大阪に遅ればせの緊急事態宣言を発出することを決定し、その対応はもはや支離滅裂な状況にさしかかっています。

来日している海外メディアが騒ぎ出すと状況変化の可能性

問題はここからです。

まだ大会期間が2週間以上も残る東京五輪が、ウイルスの爆発的感染で事実上競技ができなくなる種目が続出したり、運営スタッフに感染が爆発したりする事態が起こりえます。

また都内周辺の医療崩壊が明確になり、そのことを五輪取材で来日中の海外メディアスタッフが掌握して報道しはじめた時には、様相が一変するでしょう。

このリスクには、引き続き注意する必要がありそうです。

もちろん、何も起こらないことを願いたいところ。しかし、積極的に検査をしないにもかかわらず、都内で陽性者1万人超えという不測の事態に陥っているわけですから、投機筋の絶好の売り材料となる懸念があります。

Next: 「日本売り」に要警戒。材料不足・参加者激減の8月相場がやって来る



材料不足・参加者激減の8月相場に要警戒

株のほうはそうでなくても買い材料皆無の時間帯を迎えていますから、やはり気をつけなくてはならないのは為替ということになります。

8月はそうでなくても参加者激減、材料不足ですから、ちょっとした仕掛け売買でも大きく相場が振れることには、一定の覚悟と準備が必要です。

週明けにはすでに8月相場となるわけですが、想定外の事態に追い込まれる可能性は充分に意識してトレードしたいところです。

菅首相は五輪さえ実施してしまえばこっちのものと思っているようですが、相場の世界はそんなに甘い話はどこにもありません。充分にお気をつけください。

ほとんどの投資家が使うテクニカルチャートに潜むリスク

当メルマガは、ファンダメンタルズの情報をもとに、テクニカル的に合致したときにその方向に売買をしかけて、他者との差別化をはかることを大きな目的にしています。そのため、個別のテクニカルチャートの詳細については、テキストメールという性格上もあり、一切触れないようにして配信を行っています。

ただ、足もとの投機筋主体の夏枯れ相場を見ていますと、本邦個人投資家に人気のテクニカルチャートだけで相場を判断するのは、相当に危うい印象を持つ次第です。

たとえば、「一目均衡表」は相当に注意が必要です。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

本邦で一目山人が開発した一目均衡表は絶大な人気を誇っており、日経平均やドル円では、これをベースに取引している人は驚くほど多い状況です。

ここで申し上げたいのは、一目均衡表に問題があるということではなく、皆が同じチャートをみて情報取得していることに対するリスクのことです。

本邦の個人投資家はとにかく逆張り大好きですから、「ここまで来たら逆張り」ということにテクニカルチャートを相当に使っているのが現実です。

まあ株価のほうはプラスサムの世界ですから、それでもワークするのでしょう。しかし、為替の場合は、参加者のほとんどが戻り売りやら売り上がりやらをやらかしはじめると、どんなに下落する相場であってもショートが積みあがり過ぎになりますし、ロングの買い下がりは激しすぎる場合には。逆に相場が下落するというかなり特別な状況に陥ることがあります。

とくに多くの人が一目均衡表のようなチャートを見て、雲の位置や遅行スパンなどから先行きをほぼ同じように分析・把握した場合には、本来はそのとおりに動くであろう相場も、市場参加者の偏ったポジションが邪魔してまったく異なる動きになることが往々にしてあるものです。

それがまさに起こりつつあるのが、一目均衡表の日足を見ながらのトレードになりつつあります。

もちろん一目均衡表自体にはなんの問題もないわけですが、特定のチャートだけを皆で見続けて取引につなげるというのは、チャート自身の問題ではなく、利用者集中によるリスクの問題が発生するということになります。

Next: 相場に「ありえない」なんて事はありえない。チャートを妄信する危険性



チャートを妄信する危険性

実際にはMACD(移動平均・収束拡散トレード手法)などでも同様のリスクが高まることになりますが、1つの解消法としては、皆と同じ時間足で見ないとか、ほかのチャートとの組み合わせで考えるなどの改善策が必要となります。

足もとの日経平均では「下げれば買い」という極めて安易な発想が広がり、ファストリ株などはとにかく下げれば買いとなってもさらに下げて、市場参加者がほとんどナンピンのような取引をすることから、値が戻ったにもかかわらずやれやれ売りを持ち出してくる向きがおり、株価指数はちっとも上昇しないという、かなりまずい状況に陥っています。

為替の場合はこれとは異なりますが、一方向にポジションが傾くと、必ず投げか踏みをもたらすことになるため相当注意が必要です。

マジョリティが利用するチャートは安心と思われがちですが、実はまったく異なるリスクを作り出しているということは、しっかり理解しておく必要がありそうです。

チャートを利用するなら、多くの人が使わない時間足とかツールをうまく組み合わせて、独自のものにするという工夫がどうしても必要になりそうな状況です。

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2021年7月配信分
  • 7月30日ロンドンタイムショートコメント(7/30)
  • 7月29日ロンドンタイムショートコメント(7/29)
  • とうとう全国で1万人に近づいたコロナ陽性者 ~相場はこのままスルーし続けられるのか(7/29)
  • 7月28日ロンドンタイムショートコメント(7/28)
  • 本邦市場参加者の殆どが利用するテクニカルチャートを使うことのリスクとは(7/28)
  • 7月27日ロンドンタイムショートコメント(7/27)
  • 本邦では大きく報道されないFRBのリバースレポ金額史上最大化(7/27)
  • 7月26日ロンドンタイムショートコメント(7/26)
  • 7月第五週相場分析(7/26)
  • 7月23日ロンドンタイムショートコメント(7/23)
  • 五輪強硬開催で過剰に海外に露出した本邦政治・経済・社会状況の現実(7/23)
  • 7月22日ロンドンタイムショートコメント(7/22)
  • ドル円三尊天井形成か?単なるだましかこれからかが問題(7/22)
  • 7月21日ロンドンタイムショートコメント(7/21)
  • 7月後半からの相場はかなりシーズナルサイクルに沿った動きになる可能性(7/21)
  • 7月20日ロンドンタイムショートコメント(7/20)
  • 国内コロナ感染大爆発がドル円の売り仕掛けのドライバーにならないか厳重注意(7/20)
  • 7月19日ロンドンタイムショートコメント(7/19)
  • 7月第四週相場分析(7/19)
  • 7月16日ロンドンタイムショートコメント(7/16)
  • 今年の夏は例年以上に夏枯れが早く到来か(7/16)
  • 7月15日ロンドンタイムショートコメント(7/15)
  • 気がつけば裁量取引は個人投資家だけという状況にどう対処するか(7/15)
  • 7月14日ロンドンタイムショートコメント(7/14)
  • 内閣府が発表した今年10月からの驚異の成長見込みがバカバカしすぎる件(7/14)
  • 7月13日ロンドンタイムショートコメント(7/13)
  • 通貨ペアの季節サイクルと実際相場との乖離を活かす方法について(7/13)
  • 7月12日ロンドンタイムショートコメント(7/12)
  • 7月第三週相場分析(7/12)
  • 7月8日ロンドンタイムショートコメント(7/9)
  • ドル円のサポート割れで一気に進んだ円ショートの解消(7/9)
  • 7月8日ロンドンタイムショートコメント(7/8)
  • 米債金利は下げてドルは上昇というパラドックスをどう読み解くか(7/8)
  • 7月7日ロンドンタイムショートコメント(7/7)
  • FOMC議事録は速報のミニッツ~中身はデフォルメし放題という現実(7/7)
  • 7月6日ロンドンタイムショートコメント(7/6)
  • 新興国通貨と称してロシアルーブル買いなどして本当に大丈夫か?というお話(7/6)
  • 7月5日ロンドンタイムショートコメント(7/5)
  • 7月第二週相場分析~ドルは本当にまだ上昇するのか(7/5)
  • 7月2日ロンドンタイムショートコメント(7/2)
  • またしても囁かれ始めたバイデンの認知症説~カマラハリス大統領誕生は相当早くなる可能性(7/2)
  • 7月1日ロンドンタイムショートコメント(7/1)
  • 実態経済よりもインフレが進む米国の株、債券、不動産はこの先一体どうなるのか?(7/1)

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2021年6月配信分
  • 6月30日ロンドンタイムショートコメント(6/30)
  • 半期決算のリバランスが6月30日(6/30)
  • 6月29日ロンドンタイムショートコメント(6/29)
  • 今年6月から8月までの米国IPOの資金調達額は4.4兆円超~これじゃドルは下がらない(6/29)
  • 6月28日ロンドンタイムショートコメント(6/28)
  • 6月最終週・7月第一週相場分析(6/28)
  • 6月25日ロンドンタイムショートコメント(6/25)
  • 相場に渦巻く先行き予測~一体だれの話を信用すればいいのか(6/25)
  • 6月24日ロンドンタイムショートコメント(6/24)
  • 市場がFOMCの結果を読み違える理由について(6/24)
  • 6月23日ロンドンタイムショートコメント(6/23)
  • 国内デルタ株感染蔓延ならまさかの円売り加速という新たな危機へ(6/23)
  • 6月22日ロンドンタイムショートコメント(6/22)
  • 先週末の激しいリスクオフは結局クアドルプル・ウィッチング・ディの影響だった可能性(6/22)
  • 6月21日ロンドンタイムショートコメント(6/21)
  • 6月第4週相場分析(6/21)
  • 6月18日ロンドンタイムショートコメント(6/18)
  • とうとう中国でも起きた原発事故~果たして本邦の地政学リスクはどれだけあるのか?(6/18)
  • 6月17日ロンドンタイムショートコメント(6/17)
  • 米国人の離職率が過去最高の状況に~一体何が起きているのか(6/17)
  • 6月16日ロンドンタイムショートコメント(6/16)
  • 東芝の株主総会経産省・官邸関与露見で外人投資家が日本に投資しなくなる日(6/16)
  • 6月15日ロンドンタイムショートコメント(6/15)
  • 五輪強硬開催必至~この政権に6月後半命と投資資金を奪われないためにすべきこと(6/15)
  • 6月14日ロンドンタイムショートコメント(6/14)
  • 6月第三週相場分析(6/14)
  • 6月11日ロンドンタイムショートコメント(6/11)
  • バーゼルIII厳格活用開始で7月に向けて金買い、ドル円売りはワークするかに注目(6/11)
  • 6月10日ロンドンタイムショートコメント(6/10)
  • 米国ミーム株暴騰祭再燃にみる市場の終末的状況(6/10)
  • 6月9日ロンドンタイムショートコメント(6/9)
  • コロニアル・パイプライン身代金BTCを取り返した米・司法省(6/9)
  • 6月8日ロンドンタイムショートコメント(6/8)
  • バイデン政権の歳出計画を巡って訳の判らないことを言い出したイエレンの真意とは(6/8)
  • 6月7日ロンドンタイムショートコメント(6/7)
  • 6月第二週相場分析(6/7)
  • 6月4日ロンドンタイムショートコメント(6/4)
  • G7でまさかの五輪開催ダメ出し食らい結局菅首相実施断念14日相場下落に注意(6/4)
  • 6月3日ロンドンタイムショートコメント(6/3)
  • また到来する米国雇用統計~しかしこの数字が殆ど意味がないこれだけの理由(6/3)
  • 6月2日ロンドンタイムショートコメント拡大版(6/2)
  • 5月ETF無購入で露見した日銀のステルステーパリング~買い支え不在で一体だれが日経平均、TOPIXを支えるのか(6/2)
  • トルコリラ対ドル、円で大幅下落に注意(6/2)
  • バイデン政権が提示した22年予算6.1兆ドル~しかし新たな支出は驚くほど少ないという現実(6/1)

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2021年5月配信分
  • 5月31日ロンドンタイムショートコメント(5/31)
  • 6月第一週・週間相場分析(5/31)
  • 5月28日ロンドンタイムショートコメント(5/28)
  • スリルを求める個人投資家ばかりが集まる米国金融市場~しかしこのまま放置すればとんでもないことに(5/28)
  • 5月27日ロンドンタイムショートコメント(5/27)
  • 為替相場の乱高下は殆ど投機筋の暗躍が原因~こういうときこそ確認したい通貨のシーズナルサイクル(5/27)
  • 5月26日ロンドンタイムショートコメント(5/26)
  • バイデン政権で予想以上に進む社会主義化~はたして米国はここから成長が図れるのか(5/26)
  • 5月25日ロンドンタイムショートコメント(5/25)
  • 東京五輪強硬開催で見えてきた本邦株式相場暴落のXデーはいつか?(5/25)
  • 5月24日ロンドンタイムショートコメント(5/24)
  • 5月第四週相場分析(5/24)
  • 5月21日ロンドンタイム週間特集5(5/21)
  • 須らく無闇な上下動を繰り返し止まらない仮想通貨~果たして為替には影響はなのか(5/21)
  • 5月20日ロンドンタイム週間特集4(5/20)
  • 仮想通貨のメルトダウンに見る相も変らぬ暴落相場の構造(5/20)
  • 5月19日ロンドンタイム週間特集3(5/19)
  • ガンドラックの見立てでは米国インフレは7月にピーク(5/19)
  • 5月18日ロンドンタイム週間特集2(5/18)
  • 本邦市場関係者が一切口にしなコロナ敗戦相場~その到来はもう目と鼻の先(5/18)
  • 5月17日ロンドンタイム週間特集1(5/17)
  • 5月第三週相場分析(5/17)
  • 5月14日ロンドンタイムショートコメント(5/14)
  • バイデン発言から見えてくる米国の計画経済的状況~ 米国の労働生産性はもう上がらない?(5/14)
  • 5月13日ロンドンタイムショートコメント(5/13)
  • ETFを買わない日銀のおかげで本邦の株式相場はパニック状態突入か(5/13)
  • 5月12日ロンドンタイムショートコメント(5/12)
  • ビッグテック株を売りに回るファンド勢と買い向かう個人投資家~一体どちらが勝者になるか(5/12)
  • 5月11日ロンドンタイムショートコメント(5/11)
  • ドージコインの暴騰・爆下げにみる仮想通貨バブル前代未聞の危うさ(5/11)
  • 5月10日ロンドンタイムショートコメント(5/10)
  • 5月第二週相場分析(5/10)
  • 5月7日ロンドンタイムショートコメント(5/7)
  • 主要国では収束が見えてきたのに本邦だけ新型コロナ2.0へ突入・相場大幅下落か(5/7)
  • ロンドンタイムショートコメント(5/6)
  • イエレンのFRB議長的金利上昇予測発言に市場困惑(5/6)
  • GWウイーク相場特別編3日目(5/5)
  • 台湾侵攻より前に起きそうな中国の対日経済制裁(5/5)
  • GWウイーク相場特別編2日目(5/4)
  • 2021年コロナに打ち勝つのは他の先進国だけ?超絶低い本邦の経済回復力(5/4)
  • GWウイーク相場特別編1日目(5/3)
  • 5月第一週相場分析(5/3)

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image by:Tomacrosse / Shutterstock.com

今市太郎の戦略的FX投資』(2021年7月28日・29日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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