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静かに進む日銀「黒田バズーカ」の店じまい。総選挙後に株も為替も逆回転がやってくる?=今市太郎

報道は自民党総裁選の話題一色です。そんな中、アベノミクスの根幹部分となってきた日銀の過去に例をみない金融緩和がひっそりと終焉を迎え、巻き戻しが静かに始まっているといった内容の記事がロイターの本国版に掲載されて注目されています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

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海外報道「日銀は急進的な総裁の仕事を巻き戻す」

巷では次の自民党総裁候補がアベノミクスを継承すると言い出したり、野党がいまさらそのアベノミクスを検証するなどという呑気な策を打ち出しています。

そんな中、このアベノミクスの根幹部分となってきた日銀の過去に例をみない金融緩和がひっそりと終焉を迎え、巻き戻しが静かに始まっているといった内容の記事が、ロイターの本国版に掲載され話題になってきています。

黒田バズーカの後、日銀はこの急進的な総裁の仕事を巻き戻すと題された内容では、2023年に迫った黒田総裁の任期を前に、この総裁が急進的に進めてきた政策を静かにロールバックし、中央銀行と政治の境界線をぼかすような新たな政策を模索していると報じています。

確かに、足元の相場ではすでに日銀はTOPIXのETFさえも下落時に買い向かうことは中止しており、ステルステーパリングをすでに実施していることは間違いなさそうですが、ここから先どのようにして出口を考えていくのかが、非常に注目されるところとなってきました。

もう金融緩和「継続」は不可能?

日銀の内部関係者によると、このロールバックプロジェクトを主導しているのが雨宮正佳副総裁で、次期総裁はこの日銀生え抜きの人物が指揮していくことがほぼ内定している、というような報道もされています。

ただ、このロールバックプロジェクトでもっとも大きな障害になるのは、大量に買い付け過ぎた日経平均のETFをどう処理するか。

一応は、別の法人を擁立して、そちらにすべて移管して時間をかけて消化していく方法をとることになるのでしょう。

また国債を買い上げて金利を上昇させないという、いわゆる金融抑圧政策をどうするのかも非常に興味のあるところです。

このまま金利が大きく上昇した場合には、すでに発行した大量の赤字国債の利払いに追われることになるのは明白なだけに、一部の緩和措置はそう簡単には終焉させられないという見方も強くなっています。

いずれにしても、どこかの自民党総裁候補が口にするように緩和継続というのは、日銀サイドでは、もはや継続不能と考えていることは明白な様子。

政治と中央銀行がどう折り合いをつけるのか、強引に政権の政策にリンクさせられることになるのかどうかが、大きな注目点となりそうです。

Next: アルゴリズムすら反応しない菅辞任、総裁選の結果で為替はどう動く?



日銀のテーパリングに要警戒

現状では、為替市場はFRBの緩和終了がどのようなタイミングで始まるのかにだけ、注目が集まりつつあります。

しかし、同じようなタイミングで日銀にも同様の問題が訪れることになりそうで、相場は俄かに騒がしくなりそうです。

アベノミクスを継承するなどと安易なことを言う総裁候補が本当に総裁になった場合、いったいこの乖離した状況をどう修正していくのか。

何も修正できずに公約がただ果たせなくなるだけなのかにも、大きな注目が集まります。

総裁選はドル円には影響なしの可能性大

自民党総裁選は公示が近づくところで、新たな候補者が登場し、いきなり四つ巴の様相を呈しています。

個人的には、自民党員でもありませんからなんの投票権があるわけでもなく、さらに4人の候補者すべてが大嫌いなので、そもそも興味がありません。

唯一、関心があるとすれば、選挙結果が為替に影響を及ぼすかどうかです。

政権交代といえば2012年に自民党が総選挙で与党に返り咲き、国策で株価上昇を円安誘導を行い始めたことに海外の投機筋が乗っかって、日経平均もドル円も大きく上昇したことは記憶に新しいところ。

今回の自民党総裁選はあくまで自民党内の総裁選びで、その後に総選挙となりますから、この結果だけで相場が大きく動くとは思えない状況です。

第一次安倍政権で安倍氏が辞任してからというもの、2012年末にその安倍氏が再登板するまで、日本はほぼ1年に1度総理が変わるという米国メディアに言わせれば回転ドア状態を続けてきた経緯があります。

その間、だれが総理になっても知名度は乏しく、それでドル円が大きく買われるといったことは1度もありませんでした。

今回、菅首相の事実上の辞任宣言となる総裁選出馬見送りでも、ドル円の下落はわずか20銭たらず。

長期政権だった安倍氏の突然の辞任による相場のドル円下押しに比べれば、ほとんど市場が興味をもっていない、アルゴリズムすら反応しない材料であることがわかります。

Next: 世界は「日本の政治」にまったく関心を持っていない



世界は「日本の政治」にまったく関心を持っていない

今回、名乗りを上げている4人の候補者も、世界的な市場では知名度はまったくなく、我々がお隣の国・韓国の次なる候補者を知らないのとほとんど同じ状況で、誰が選ばれたらドル円上昇、逆に誰が勝ったらドル円下落などという、クリティカルな状況が示現するとは思えない状況です。

10月末なのか、11月なのかはわかりませんが、総選挙の結果についてはまだ相場が動く可能性はありそうですが、中国「恒大集団」の件でも動かない相場ですから、極東の衰退国の選挙結果によほど驚くべきものでもでないかぎり、為替についてはあまり変動を心配する材料にはならないと考える次第です。

むしろ、金融市場では黒田日銀総裁が早期に辞任することのほうが、相場に与える影響が大きそうです。

黒田バズーカ終焉が確認されれば、株も含めて、相場が大きく巻き戻しになることを心配しなくてはなりません。

まあそれにしても、日本はなんともプレゼンスの低い国になってしまったものです。どこかのタイミングで大きく円安の時代がやってくることも、心配しなくてはならないようです。

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  • 静かに進む日銀の黒田バズーカ巻き戻し~株も為替も逆回転がやってくる?(9/15)
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  • 菅首相9月中旬解散断行で株価は慣例どおり上昇するものなのか?(9/1)

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image by:Government of Thailand at Wikimedia Commons [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

今市太郎の戦略的FX投資』(2021年9月15日・17日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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