対ドルで韓国ウォン安が急速に進んでおり、韓国銀行が介入を示唆しています。日本市場はまったく関心がないように見受けられますが、いよいよデフォルトに直面するのではないかといった悲観的な見方が広がっています。さらには、韓国国民の個人負債破綻リスクへも警戒が必要です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年10月1日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
止まらぬウォン安に“デフォルト危機”再燃
ドル建ての債務を大量に保有する韓国ではウォンが大幅に下落し、とうとう危険水域と言われた1ドル1,200ウォンを突破する勢いになっており、いよいよデフォルトに直面するのではないかといった悲観的な見方が広がっています(編注:原稿執筆時点2021年10月14日)。
韓国銀行(中央銀行)の総裁は、「必要に応じて市場の安定を図る」として介入意向を示していますが、そんなことで制御できるとは到底思えません。
1,200超えから一気に1,700ドル、1,900ドルと上昇することになれば、デフォルトもありうる状況になってきています。
直近の市場で、ウォン安に大きな影響を与えているのは原油価格の上昇です。この価格上昇はまだまだ続く可能性が高いことから、ウォン安もさらに継続するリスクが高まっています。
ただ、この手の話は本邦市場ではまったく関心がないようで、もちろん米国市場でもほとんど無視されたままの状態。
実際に韓国が突然デフォルトになって、はじめて騒ぎになりそうな嫌な予感がしてなりません。
Next: 韓国若者の個人負債“膨張”に要警戒。危機は突然やってくる
予想外の円高に要注意。為替相場への影響は避けられない
すでに当メルマガではご紹介していますが、韓国ウォン暴落で激しいウォン安が到来した場合、対ドルでも対円でも「ウォン激安」が示現しますから、ドル円については意外に影響はなさそうな状況です。
ただしクロス円は予想外に円高が進むことがありそうですし、新興国通貨はこれに連動して激しく売られることが予想されます。
為替については、それなりの影響が出ることは覚悟しておく必要がありそうです。
1997年のデフォルト寸前の際にはIMFが助け舟を出し、その後、経済はボロボロになりましたが、一応、公式的なデフォルトは回避しています。
しかし足もとでは、日韓関係も悪化の一途で、米国もそれほど興味を示していませんから、どうなってしまうのかが注目されます。
韓国若者の個人負債“膨張”も不安の種
もう1つ、私たち個人投資家が気にしなくてはならないのが、韓国の国民とりわけ20代・30代の猛烈な個人負債の膨張です。
韓国に詳しい向きに言わせれば、国のデフォルトよりも、個人負債の破綻のほうが先に来るのではないかという恐ろしい話も飛び出しはじめています。
上場企業の47%がリストラを敢行し、韓国のミレニアル世代は多くの人が失業していることから、借金で一攫千金をめざすために、株・不動産・仮想通貨などへの投資を行っているのが大きな問題になりはじめています。
こうした若年層の個人負債は260兆ウォンで、年間の所得の倍を超える額であるというのですから、尋常ではない世界に入っていることが窺われます。
これで国のデフォルト騒ぎから、株が大幅下落することにでもなれば、足もとでも相当な若者が投資をしているといわれるビットコインにも、資金確保のための未曾有の投げ売りが出る危険性は高く、韓国発のミンスキーモーメントが発動されるリスクは相当高くなります。
Next: 韓国デフォルト危機に「ビットコイン」も巻き添え。日本への影響は?
為替・暗号資産は総崩れになりうる
そもそも何に起因して上昇するのかよくわからないビットコインなどは、こうした影響をもろに受けやすく、上昇したところは欲張らずに、とっとと利確して逃げておいたほうがよさそうな雰囲気が漂います。
韓国のデフォルトが日本に与える影響は、それほど大きなものにはならないのかもしれません。
しかし、少なくとも為替やビットコインの世界では、それなりのネガティブな影響が出る可能性は相当高くなっています。
無視せずに、逐次情報を確認することが肝要になりそうです。どうぞご注意ください。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2021年10月14日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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